資料 女子差別撤廃委員会の最終見解に対する日本政府コメントについての同委員会の見解(仮訳)

施策 > 女子差別撤廃委員会の最終見解(CEDAW/C/JPN/CO/6)に対する日本政府コメントに係る追加的情報提供(仮訳)

女子差別撤廃委員会の最終見解(CEDAW/C/JPN/CO/6)に対する日本政府コメントに係る追加的情報提供(仮訳)

2011年11月

2011年8月に女子差別撤廃委員会へ提出した女子差別撤廃委員会最終見解のフォローアップ報告における審査及び評価において,同委員会は日本政府に対し,下記勧告に対して講じた措置につき追加的情報を1年以内に提出するよう要請した。追加的情報を求められた右勧告事項に関する2011年7月から2012年10月までの間における我が国の動向及び政府の取組を以下のとおり報告する。

委員会は女子差別撤廃条約のフォローアップ手続に基づき,2011年8月5日に日本から提出された(最終見解に対する)情報(CEDAW/C/JPN/CO/6/Add.1)を歓迎する。2011年10月にジュネーブにおいて開催された委員会第50会期において,委員会は日本政府から提出された同情報を審査し,以下の評価を採択した。

a)男女共に婚姻適齢を18歳に設定すること,女子差別撤廃条約16条1(g)の規定に沿って夫婦に氏の選択を認めること,嫡出である子と嫡出でない子の相続分を同等化することを内容とする民法改正法案の採択について講じた措置

b)女性のみに課せられている6か月の再婚禁止期間を廃止する法律規定の準備及び採択について講じた措置

1.改正法案の動向について

婚姻適齢の男女統一,選択的夫婦別氏制度の導入,嫡出である子と嫡出でない子の相続分の同等化及び女性の再婚禁止期間の短縮等を内容とする民法及び戸籍法の改正については,政府部内及び国民の間に様々な意見があるため,前回の報告後,現在に至るまで法律案を提出するには至っていない。このような状況を踏まえると,この点については,なお国民的な議論を深める必要があるものと考えている。

2.男女共同参画会議における取組について

(1) 2011年7月25日,内閣官房長官を議長とし,閣僚議員12名及び有識者議員12名で構成される男女共同参画会議において,江田五月法務大臣は,女子差別撤廃委員会の勧告にも言及しながら,政府部内における様々な意見により2010年の通常国会において法律案の提出ができなかったことについて法務省としても残念である旨及び今後も法律改正に向けて努力したい旨を表明した。

さらに,同会議においては,我が国における女子差別撤廃委員会の最終見解への対応の進捗状況の監視を任務の一つとしている男女共同参画会議監視専門調査会の鹿嶋敬会長が,会議に出席していた閣僚に対し,民法改正に関して必要なのは政治的な決断であり,政治のリーダーシップを発揮して民法改正の問題に取り組むべきことを強く要請した。

(2) 2012年7月25日,男女共同参画会議監視専門調査会は,第3次男女共同参画基本計画の実施状況についての意見を公表した。この中では,政府に対し,選択的夫婦別氏制度の導入等の民法改正等について,引き続き,第3次男女共同参画基本計画に沿って検討を進めることを求めている。

(3) 2012年8月1日,男女共同参画会議において,滝実法務大臣は,法務省として,今後も関係方面に対し改正の内容等を十分に説明しながら,民法改正に向けて努力したい旨を表明した。

3.国会における総理大臣の答弁について

国会における総理大臣の答弁について2012年1月27日,野田佳彦内閣総理大臣は,衆議院本会議において,民法改正については様々な意見があるが,引き続き,政府及び与党間において議論していきたい旨答弁した。

4.国民に対する広報について

法務省においては,選択的夫婦別氏制度の意義についてホームページを通じた広報等を継続して実施している。また,1996年に法制審議会が答申した民法改正案要綱(婚姻適齢の男女統一,選択的夫婦別氏制度の導入,嫡出である子と嫡出でない子の相続分の同等化及び女性の再婚禁止期間の短縮等を内容とするもの)やそれをもとに2010年に準備した民法及び戸籍法の一部を改正する法律案について,その資料をホームページで継続して公表している。

5.報告とりまとめに際しての男女共同参画会議監視専門調査会におけるフォローアップ及びNGO等との意見交換について

男女共同参画会議では,男女共同参画会議監視専門調査会の今後の調査方針として,女子差別撤廃委員会からの勧告事項についてのフォローアップをすることを決定し,これを受けて,監視専門調査会は,2012年9月13日,関係府省から勧告事項について講じた措置の説明を受けるなどのフォローアップを行った。

同専門調査会での議論に加え,2012年10月10日にはNGO等に対しても関係府省からの取組内容の説明を行い,意見交換を行った。

本報告は,同専門調査会での議論やNGO等との意見交換を経てとりまとめたものである。