第2節 障害者が安心して暮らせる環境の整備

施策 > 第9章 > 第2節 障害者が安心して暮らせる環境の整備

第2節 障害者が安心して暮らせる環境の整備

(総合的な障害者施策の推進)

障害者施策については,障害当事者を構成員の中心とする障害者政策委員会が,平成25年度からの次期障害者基本計画の策定について,24年12月に取りまとめた意見を踏まえて,新たな「障害者基本計画」を策定し,施策の一層の推進を図る。また,「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律案」を,第183回国会に提出した。

これらによって,障害の有無にかかわらず,国民誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合う「共生社会」の実現に向けて,障害者施策の総合的かつ計画的な推進に努める。

(障害者の自立を容易にするための環境整備)

政府は,「バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進要綱」に基づき,高齢者,障害者,妊婦や子ども連れの人を含む全ての男女が社会の活動に参加・参画し,社会の担い手として役割と責任を果たしつつ,自信と喜びを持って生活を送ることができるよう,ハード・ソフト両面にわたる社会のバリアフリー・ユニバーサルデザインを推進する。

また,高齢者や障害者等の自立を支援し,介護者の負担軽減を図るため,福祉機器開発のための実用化支援,情報バリアフリー環境の整備,道路交通環境等高齢者や障害者等が自立しやすい社会基盤の整備を推進する。

国土交通省では,「どこでも,だれでも,自由に,使いやすく」というユニバーサルデザインの考え方を踏まえた高齢者,障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成18年法律第91号)により,「移動等円滑化基準」への適合義務,既存の施設等に対する適合努力義務を定めるとともに,「移動等円滑化の促進に関する基本方針」(最終改正平成23年国家公安委員会,総務省,国土交通省公示第1号)における平成32年度末までの整備目標に向けて,バリアフリー化の推進を図る。また,市町村が作成する基本構想に基づき,重点整備地区において重点的かつ一体的なバリアフリー化を推進する。さらに,バリアフリー化の促進に関する国民の理解を深め,協力を求める「心のバリアフリー」を推進するため,高齢者,障害者等の介助体験や疑似体験を行う「バリアフリー教室」等を開催するほか,バリアフリー施策のスパイラルアップ(段階的・継続的な発展)を図りながら住まいづくり,まちづくり,都市公園,公共交通機関,道路交通環境の整備を推進する。

文部科学省では,発達障害者(児)に対する,乳幼児期から成人期に至るまで一貫した支援を行うため,早期からの教育相談・支援体制の構築,発達障害に関する教職員の専門性向上,高等学校等における生徒へのキャリア教育の充実等に取り組むほか,障害特性に応じた教材の在り方等についての実践研究を行う。また,関係機関等の連携により学校現場における特別支援教育の体制整備を推進する。

(雇用・就労の促進)

厚生労働省では,近年,障害者の就労意欲が着実な高まりを見せる中で,より多くの就職希望を実現するとともに,男女共にいきいきとした職業生活を送ることができるようにするため,障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和35年法律第123号)や「障害者雇用対策基本方針」(平成21年厚生労働省告示第55号)等を踏まえた就労支援について,ハローワークと地域関係機関との連携によるチーム支援の推進や障害者就業・生活支援センターにおける就業と生活両面の一体的な支援の実施等により,質・量共に一層の強化を図る。

文部科学省では,障害のある子どもが自立し社会参加するために必要な力を培うため,特別支援学校高等部等において職業教育を推進する。