第1節 高齢者が安心して暮らせる環境の整備

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第1節 高齢者が安心して暮らせる環境の整備

(高齢男女の就業促進,能力開発,社会参画促進のための支援)

厚生労働省では,定年後の雇用について,希望者全員の65歳までの雇用が確保されるよう,高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(昭和46年法律第68号)に基づき,65歳までの定年の引上げ,継続雇用制度の導入等の高年齢者確保措置が着実に実施されるよう事業主への指導・支援に取り組む。また,シルバー人材センターを通じて,高年齢者の多様なニーズに応じた就業の促進を図る。さらに,高年齢者の就労機会や活躍の場を確保する方策を検討するため,有識者による検討会を開催する。

文部科学省では,高齢者の社会参加による生きがいづくりを促進するため,高齢者の生涯学習に関する研究成果や各地域の先進的な取組事例等を活用した研究協議会を開催する。

独立行政法人国立女性教育会館では,女性関連施設及び女性団体との連携を強化して,高齢女性を含む女性の能力開発に係る好事例を発掘し,その成果や取組に当たっての工夫について,多様な媒体を用いて普及啓発する。

(高齢男女の生活自立支援)

政府は,「バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進要綱」(平成20年 3月バリアフリー・ユニバーサルデザインに関する関係閣僚会議決定)に基づき,ハード・ソフト両面にわたる社会のバリアフリー・ユニバーサルデザインを推進する(本章第2節参照)。

厚生労働省では,社会福祉協議会が実施する高齢者の日常生活を支援する事業(日常生活自立支援事業)について,男女別のニーズへの配慮を含め,利用者ニーズに応じて地域包括支援センターや民生委員等とも連携し一層の推進を図る。

国土交通省においては,高齢者が安心して暮らすことができる住まいを確保するため,介護・医療との連携を強化した高齢者を支援するサービス付き高齢者向け住宅の供給を促進するとともに,住宅金融支援機構の住宅融資保険制度を活用したリバースモーゲージの推進により,同住宅への住み替えを支援する。

独立行政法人国民生活センターでは,消費者問題の専門家を全国各地に派遣し,高齢者等に対し公民館や学校等の施設,集会場において消費者問題を分かりやすく説明する出前講座を開催することにより,消費生活や消費者問題に関する学習機会の提供を図る。

(良質な医療・介護基盤の構築等)

厚生労働省では,高齢化が一層進展する我が国において,介護保険制度が将来にわたり国民生活の安心を支え続けることができるよう,介護保険法(平成 9年法律第123号)の着実な実施を図る。

また,全国の主要なハローワークに「福祉人材コーナー」を設置し,きめ細かな職業相談・職業紹介,求人者への助言,指導等を実施するとともに,「福祉人材コーナー」を設置していないハローワークにおいても,福祉分野の職業相談・職業紹介,職業情報の提供及び「福祉人材コーナー」への利用勧奨等の支援を行う。各都道府県に設置されている福祉人材センターにおいては,当該センターに配置された専門員が求人事務所と求職者間双方のニーズを的確に把握した上で,マッチングによる円滑な人材参入・定着支援,職業相談,職業紹介等を推進する。

さらに,介護労働者の雇用管理改善については,労働環境の改善に資する介護福祉機器や雇用管理制度等を導入する事業主への助成や,介護労働安定センターによる雇用管理改善の相談援助を実施する。医療提供体制の整備に当たっては,引き続き,重篤な救急患者を24時間受け入れる救命救急センター,地域医療に従事する医師のキャリア形成の支援と一体的に地域の医師不足病院への医師確保を行う地域医療支援センターの設置等を通じて,救急医療の充実や地域医療の確保・充実に取り組んでいく。

また,国民が可能な限り住み慣れた地域で暮らすことができるよう,地域包括ケアシステムの実現を目指し,引き続き在宅での医療と介護の連携の推進等について包括的な取組を行う。

経済産業省では,高齢者や障害者等の自立を支援し,介護者の負担軽減を図るため,福祉機器開発のための実用化支援を行う。