はじめに 平成24年度を振り返って

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はじめに 平成24年度を振り返って

1 日本経済再生のための女性の活躍促進

少子高齢化が進み,社会を支える生産年齢人口が急速に減少していく中,平成24年度は,我が国経済の再生には女性を始めとする多様な人材の活用が不可欠であることが強く認識され,関連の取組が進められた1年であった。

平成24年6月には,女性の活躍による経済活性化を推進する関係閣僚会議において,「女性の活躍促進による経済活性化」行動計画が策定された。同計画は,その後,日本再生戦略(平成24年7月31日閣議決定)にも反映され,男女共同参画会議や内閣府の検討会において,ポジティブ・アクション等の課題や,企業における女性の活躍の「見える化」を促進するための取組が検討された。

平成24年12月に発足した第二次安倍内閣では,女性活力・子育て支援担当大臣が設けられた。男女が共に仕事と子育てを両立できるような環境整備や,仕事で活躍している女性も過程に専念している女性も,それぞれのライフステージに応じて輝けるような取組が,内閣を挙げて進められている。日本経済再生のために若者や女性の雇用問題等に対して処方箋を提示することが喫緊の課題とされ,若者や女性の活躍促進のための対応策を検討するため,25年2月からは若者・女性活躍推進フォーラムが開催された。

2 男女共同参画の視点からの防災・復興の対応

東日本大震災の発災から2年の歳月が経過した。この震災の教訓から,災害対応における男女共同参画の視点が重要であること,防災・復興における政策・方針決定過程への女性の参画が不可欠であることなどが明らかとなっている。平成24年6月には,災害対策基本法が改正され,地方防災計画の策定に当たり多様な主体の意見を反映できるよう,地方防災会議の委員として,自主防災組織を構成する者又は学識経験のある者を追加できることとなった。これを受けて内閣府及び総務省は,地方防災会議に男女共同参画の推進及び高齢者や障害者等の多様な主体の参画を促進するよう地方公共団体に通知している。この法改正後,地方防災会議における女性委員の割合は増加しており,防災に関する政策・方針決定過程への女性の参画が徐々に進んでいる。

被災地を始め,全国各地でいまだに多くの方々が不自由な生活を強いられている中,東日本大震災からの復興の加速が政府の最重要課題の一つとなっている。東日本大震災復興対策本部が平成23年7月に策定した「東日本大震災からの復興の基本方針」においては,復興施策に男女共同参画,特に女性の視点を反映することが記載されている。復興に関する国の施策の企画,調整及び実施及び地方公共団体への一元的な窓口と支援等を担っている復興庁では,以上のような考え方を踏まえて,震災からの復興過程における男女共同参画を推進している。24年度は,被災自治体に対して,今後の復興計画の具体化等に当たって,男女共同参画の視点が十分反映されたものとなるよう働きかけるなどの取組を行った。

3 第3次男女共同参画基本計画の推進等

平成24年度は,23年度からの5年を視野に具体的施策を定める第3次基本計画の2年目に当たり,同計画で設定された成果目標の達成に向けて,計画に盛り込まれている具体的施策を着実に実施していく年となった。各成果目標の現状値からは,おおむね取組が進展している様子がうかがえるが,一部の指標にはなお一層の努力が必要なものも見られる。

政策・方針決定過程への女性の参画拡大については,指導的地位に占める女性の割合を平成32年(2020年)までに30%程度とする政府目標の達成のため,ポジティブ・アクションの推進等の取組を進めている。24年度においては,女性国家公務員の採用・登用の促進等への積極的な取組を内閣府特命担当大臣(男女共同参画)から各府省大臣等に対して要請するなどの取組を行っている。24年4月には,各政党に対しても,内閣府特命担当大臣(男女共同参画)等が国や地方の政治において女性の参画の拡大が進むよう働きかけを行った。

男女の仕事と生活の調和の推進に関しては,男性の育児休業の取得を促進するなどの取組を進めている。平成23年における男性の育児休業取得率は,前年よりも増加したものの,依然として低い水準にとどまっている。政府においては,国家公務員から男性職員の育児休業の取得促進を率先して実施することとして,官民一体の目標(平成27年度(2015年度)までに8%)よりも1年前倒しした目標を設定するなど,育児休業取得率の向上に努めている。

4 男女共同参画に関わりの深い制度改革の動き

幼児期の学校教育・保育,地域の子ども・子育て支援を総合的に推進するため,認定こども園制度の改善等を含む新たな子ども・子育て支援制度を定めた,子ども・子育て支援法等の子ども・子育て関連3法が,第180回国会において平成24年8月に成立した。

また,働き方に中立的な社会保障制度を目指して,短時間労働者への厚生年金・健康保険の適用拡大や産休期間中の厚生年金保険料・健康保険料の免除を行うとともに,遺族基礎年金の支給対象を父子家庭にも拡大することなどを内容とする公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律が同国会で成立した。

これらの制度改正は,第3次基本計画において早急に対応すべき課題とされている,より多様な生き方を可能にする社会システムの実現にも資するものである。

5 国際的な動向への対応

男女共同参画社会の実現に向けた我が国の取組は,昭和50年(1975年)の国際婦人年以来,国際機関における議論や取組と連動する形で進められている。

平成24年11月には,ミチェル・バチェレ国連事務次長兼UN Women事務局長(当時)が,我が国を訪問した。バチェレ事務局長は,内閣総理大臣,内閣府特命担当大臣(男女共同参画)及び外務大臣と相次いで会談を行ったほか,国内における関係団体を始めとする幅広い関係者との意見交換を行うなど,我が国とUN Womenとの協力関係の一層の強化が確認された。我が国の男女共同参画に関する取組を国際社会に発信することは,国際社会における我が国の存在感及び評価を高めることにもつながる。

2012(平成24)年10月,ラオスのビエンチャンにおいて第4回女性に関するASEAN+ 3に合わせて第1回女性に関するASEAN閣僚級会合が開催された。この会合には,我が国から内閣府特命担当大臣(男女共同参画)が参加し,閣僚級会合の整備を含む協力体制等について協議を行い,今後の更なる協力体制の強化について話し合っていくことなどが合意された。