第2節 復興における男女共同参画

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第2節 復興における男女共同参画

(東日本大震災からの復興における政策・方針決定過程への女性の参画)

内閣府「東日本大震災からの復興に関する男女共同参画の取組状況調査」(平成24年)によると,被災地方公共団体における復興計画の策定や推進のための委員会等に占める女性委員の割合は,14.6%(1,889人中276人)となっている。一方,85委員会中9委員会では,女性委員がゼロであった(第1-8-4表)。

第1-8-4表 復興計画の策定や推進のための委員会等に占める女性委員の割合 別ウインドウで開きます
第1-8-4図 復興計画の策定や推進のための委員会等に占める女性委員の割合

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また,東日本大震災からの復興に当たり,住民との合意形成が重要となる集団移転や区画整理,再開発事業等のまちづくり(以下「復興まちづくり」という。)に取り組んでいる32地方公共団体のうち,復興まちづくりに当たって,住民同士が議論や検討を行う自主的なまちづくり組織(まちづくり協議会)を設立している(した)ところは20地方公共団体と約6割となっている。

まちづくり協議会の構成員に占める女性の割合は,19.5%(534人中104人)となっており,宮城県岩沼市では34.8%,福島県南相馬市では33.3%と構成員に占める女性の割合が3割以上となっている(第1-8-5表)。

第1-8-5表 住民によるまちづくり協議会に占める女性の割合 別ウインドウで開きます
第1-8-5表 住民によるまちづくり協議会に占める女性の割合

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(東日本大震災後の雇用状況)

岩手県,宮城県及び福島県における有効求職者数は男女共に,東日本大震災の後,平成23年5~6月をピークに季節的な変動は見られるものの減少傾向で推移している(第1-8-6図)。

第1-8-6図 岩手県・宮城県・福島県の有効求職者数の推移(男女別)別ウインドウで開きます
第1-8-6図 岩手県・宮城県・福島県の有効求職者数の推移(男女別)

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また,雇用保険受給者実人員は,平成23年5~8月頃をピークに減少傾向で推移している(第1-8-7図)。

第1-8-7図 岩手県・宮城県・福島県の雇用保険受給者実人員の推移(男女別) 別ウインドウで開きます
第1-8-7図 岩手県・宮城県・福島県の雇用保険受給者実人員の推移(男女別)

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沿岸部のハローワークにおいては,平成24年3月時点では,女性の求職者が多い食料品製造の職業で求人件数が少ないといった,女性の希望する仕事と求人の多い仕事とのミスマッチが見られたが,25年3月時点では,このミスマッチは解消してきている。一方,建設・採掘の職業では,同年3月時点でも,求人件数が求職者数全体を上回っているものの女性の求職者は極めて少ないなど,依然として雇用における需要と供給のミスマッチが見られる(第1-8-8図)。

第1-8-8図 ハローワーク別の有効求人数・有効求職者数(男女別) 別ウインドウで開きます
第1-8-8図 ハローワーク別の有効求人数・有効求職者数(男女別)

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厚生労働省では,東日本大震災等の影響による失業者の雇用機会を創出するため,都道府県に造成した基金を活用し,雇用の受け皿を作り出す事業を行っている。この震災等緊急雇用対応事業により,平成24年12月末時点で,岩手県,宮城県及び福島県で約5万5,000人の雇用を創出したが,このうち約2万8,000人(51.6%)が女性となっている(第1-8-9表)。

第1-8-9表 岩手県・宮城県・福島県の震災等緊急雇用対応事業雇用実績(男女別)別ウインドウで開きます
第1-8-9表 岩手県・宮城県・福島県の震災等緊急雇用対応事業雇用実績(男女別)

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(東日本大震災被災地における女性の悩み・暴力相談事業)

内閣府では,岩手県,宮城県及び福島県に相談窓口を開設し,東日本大震災被災地における女性の悩み・暴力相談事業を実施している。平成24年度に同3県の相談窓口に寄せられた相談件数は,5,573件となっている。その内訳は,不安,抑うつ,PTSD12等の「心理的問題」が21.3%と最も多く,次いで,生きがいや孤独・孤立等の「生き方」が15.2%,親,きょうだい,子どもとの関係等の「家族問題」が14.4%となっている(第1-8-10図)。

第1-8-10図 東日本大震災被災地における女性の悩み・暴力相談事業 相談件数の内訳(複数回答) 別ウインドウで開きます
第1-8-10図 東日本大震災被災地における女性の悩み・暴力相談事業 相談件数の内訳(複数回答)

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12心的外傷後ストレス障害(posttraumatic stress disorder)の略語。

相談の中には,「心が復興に追いつかず,自分だけ置いていかれた気持ちになる」,「震災で家を失い親族と同居を始めたが,疎まれ家に居場所がない」,「放射性物質の身体への影響が心配。将来結婚して子どもを産めるのか不安」,「震災で家族を失い,一人で頑張ってきたが孤独に耐えられなくなり死にたい」等のほか,「震災後に夫の暴力がひどくなり,子どもにも暴力を振るうようになった」,「職場の男性から性的嫌がらせを受けているが,震災後にやっと見つけた仕事なので辞めたくない」等,配偶者等からの暴力に関する相談もある。

平成24年中の警察における配偶者からの暴力に関する相談対応件数(4万3,950件)のうち,岩手県,宮城県及び福島県における件数は2,994件と,前年(2,213件)に比べて35.3%増加した。これは,全国における前年比増加割合(28.0%)に比べて7.3ポイント高い。