平成24年版男女共同参画白書

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第3節 対外発信機能の強化

1 国際分野における政策・方針決定過程への女性の参画の促進

我が国は,国際会議への政府代表団への女性メンバーの参加も積極的に進めている。2011(平成23)年第66回国連総会第三委員会においては,平敷淳子氏を日本政府代表顧問に任命し,また,2012(平成24)年の第56回国連婦人の地位委員会においては,橋本ヒロ子氏を日本代表に任命し,それぞれ政府代表団の一員として派遣した。なお,女子差別撤廃条約に基づき設置された女子差別撤廃委員会では,林陽子弁護士が委員を務めている。

また,日本人女性の国際機関への参画も進んでおり,国連を含む国際機関における日本人の女性職員数(専門職以上)は,1975(昭和50)年の19人から2011(平成23)年には469人と大幅に増加している。

2 日本の特徴をいかしたテーマの対外発信

平成24年2月から3月にかけて開催された第56回国連婦人の地位委員会において,23年3月に起こった東日本大震災から1年になるに当たり,我が国の経験や教訓を各国と共有し,国際社会の理解を深めるとともに,より女性に配慮した災害への取組を促進することを目指して,「自然災害におけるジェンダー平等と女性のエンパワーメント」決議案を主提案国として提出した。

3 NGO等との連携・協力推進

男女共同参画推進連携会議企画委員会主催による情報・意見交換会として,「第55回国連婦人の地位委員会等について聞く会」,「女子差別撤廃委員会最終見解フォローアップ等について聞く会」,「APEC女性と経済サミット及び経済活動における女性のエンパワーメントについて聞く会」,「第56回国連婦人の地位委員会及び環境と女性(リオ+20)について聞く会」を開催するなど,国内NGO等との交流を行った。

また,第56回国連婦人の地位委員会には,NGO代表を政府代表団の一員として派遣した。

4 国際会議におけるイニシアティブの発揮

外務省では,平成7年度よりアラブ諸国との女性交流プログラムを実施しており,23年度は,法律分野で活躍している我が国の女性代表団が,長期政権が崩壊し現在政治的移行プロセスが進行しているチュニジア及びエジプトのほか,憲法改正等の改革が進んでいるヨルダンを訪問し,これらの諸国の法曹関係者等と女性の権利の拡大,社会参画等について意見交換を行った。

2011(平成23)年5月,OECD閣僚理事会と併せてフォーラム(OECD Forum 2011)が開催され,「ジェンダー」をテーマとするパネルディスカッションが行われた。我が国からは末松義規内閣府副大臣がパネリストとして出席し,「女性の労働参加の必要性を政策の中に位置付けることが重要」として社会保障と税の一体改革での論点の紹介や,イメージ戦略としての「イクメンプロジェクト」の報告等を行った。

また,2012(平成24)年3月,横浜において,APEC女性と経済サミットのフォローアップイベントとして,「APEC横浜フォーラム:女性とリーダーシップ」を我が国主催によるAPEC自主財源プロジェクトとして開催した。

2011(平成23)年11月,カンボジアのシェムリアップにおいて「第4回東アジア男女共同参画担当大臣会合」が開催された。同会合では,「経済危機に対する回復力構築と前進」を全体テーマとして議論が行われ,会合の合意文書として「共同声明」が採択された。我が国からは中塚一宏内閣府副大臣が出席し,ワーク・ライフ・バランスについてのプレゼンテーションを行うとともに,他のサブ・テーマについてもモデレーターを務めるなど,同会合の議論に積極的に参加した。「東アジア男女共同参画担当大臣会合」は,2006(平成18)年に我が国が主導し,議長国を務めた東アジア地域における初の男女共同参画担当大臣会合である。

ASEAN(東南アジア諸国連合)は,日本,中国,韓国の3か国を招いて「女性に関するASEAN+3委員会(ACW(ASEAN Committee on Women)+3)」を開催しており,2011(平成23)年10月,インドネシアのボゴールで第3回ACW+3会合が開催された。「ジェンダー平等に関する立法を通じたミレニアム開発目標(MDGs)達成加速に向けたジェンダー格差是正」をテーマに意見交換が行われ,内閣府が我が国の取組等について報告を行った。

コラム APEC女性と経済サミット(WES)の開催