平成24年版男女共同参画白書

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第4節 子どもに対する性的な暴力の根絶に向けた対策の推進

1 子どもに対する性的な暴力被害の防止,相談・支援等

警察では,従来の検挙活動や防犯活動に加え,全国の警察本部に設置した「子ども女性安全対策班」による性犯罪等の前兆とみられる声掛け,つきまとい等の段階で行為者を特定し,検挙・警告等の措置を講じる先制・予防的活動の積極的な推進により,子どもや女性を被害者とする性犯罪等の未然防止に努めている。

また,各種活動を通じて児童虐待事案の早期把握に努めるとともに,児童相談所,学校,医療機関等との関係機関との緊密な連携を保ちながら,児童の生命・身体の保護のための措置を積極的に講じているほか,性犯罪や性的虐待等の被害を受けた少年の再被害防止や立ち直りの支援のため,少年補導職員が中心となり,「被害少年カウンセリングアドバイザー」や「被害少年サポーター」等の協力を得て,被害少年の特性に配慮した継続的な支援活動を推進している。

2 児童ポルノ対策の推進

我が国は,「児童の権利に関する条約」及び「児童の売買,児童買春及び児童ポルノに関する児童の権利に関する条約の選択議定書」を,それぞれ平成6年及び17年に締結しており,関係省庁が連携しつつその履行に努めている。

また,「児童ポルノ排除総合対策」に基づき,関係省庁が連携して,児童ポルノの排除に向けた国民運動の推進,インターネット上の児童ポルノ画像等の流通・閲覧防止対策の推進等に取り組んでおり,平成23年4月から,インターネット上の児童ポルノ画像等の流通・閲覧防止対策の一環として,インターネット・サービス・プロバイダ等による自主的なブロッキングが開始されている。

警察では,「児童ポルノ排除総合対策」等に基づき,関係行政機関・事業者等と緊密な連携を図りながら,ファイル共有ソフト利用事犯や,児童ポルノ愛好者グループ及び児童ポルノDVD販売グループ等によって敢行される悪質・巧妙な手口のインターネット利用児童ポルノ事犯の取締りの強化,悪質な関連事業者に対する刑事責任追及の強化,児童ポルノ発見時におけるサイト管理者等に対する速やかな削除依頼の実施等の流通・閲覧防止対策,被害児童の早期発見及び支援活動等を推進している。

また,警察庁では,安心ネットづくり促進協議会や児童ポルノ流通防止対策専門委員会等に参加し,必要な情報提供や助言等を行うとともに,児童ポルノ掲載アドレスリスト作成管理団体に対して児童ポルノ情報を提供するなど,民間の自主的な取組であるブロッキングに協力している。

また,コミュニティサイトの利用に起因する被害を抑止するため,フィルタリングの普及,ミニメールの内容確認体制拡充の促進,実効性のあるゾーニングの促進等の関係事業者等による自主的取組を支援している。

総務省では,「児童ポルノサイトのブロッキングに関する実証実験」を実施している(第4章第3節3参照)。

経済産業省では,関係省庁と連携の下,児童ポルノアドレスリスト作成・管理団体等の活動を支援することで,民間事業者の自主的な取組としてのインターネット上の児童ポルノの流通・閲覧防止措置の導入の推進等を行っている。

3 児童買春対策の推進

警察では,平成16年6月に法定刑の引上げ等の改正がなされた児童買春・児童ポルノ禁止法に基づき,児童買春の取締りを強力に推進するとともに,被害児童に対しては,関係機関等と連携しつつ,必要に応じ継続的な支援等を実施するなどの保護対策を推進している。また,20年6月に出会い系サイト事業者に対する規制の強化等の改正がなされた,インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律(平成15年法律第83号)を効果的に運用し,インターネット異性紹介事業の利用に起因する児童買春その他の犯罪からの児童の保護を図っている。

文部科学省では,被害者を含めて児童生徒等の相談等に適切に対応できるよう,スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の配置を推進するなど,学校における教育相談体制の充実を支援している。

4 広報啓発の推進

内閣府では,青少年インターネット環境整備法及び「青少年インターネット環境整備基本計画」に基づき,関係省庁や民間団体等と連携して,青少年及び保護者等に対する広報啓発活動や国内外の調査等の施策を実施するとともに,同基本計画の見直し等に向けた検討を推進している。

総務省では,インターネット,携帯電話等のメディアの特性に応じたメディア・リテラシーに関する教材等の普及を図っている。

文部科学省では,教職員等の学校関係者が,メンタルヘルスについて正しい知識をもって児童生徒等に適切な対応ができるよう,教職員向けの指導参考資料の作成や,子どもの心のシンポジウムを開催している。

また,虐待を受けた子どもへの支援等に関する研修教材「児童虐待防止と学校」(CD-ROM)を作成し,平成21年5月,都道府県等を通じて,学校教育関係者に配布し,教職員の意識啓発とスキルの向上を図った。また,22年3月に,厚生労働省と協議の上,学校等から児童相談所等への児童の出欠状況等の定期的な情報提供の実施方法等に関して,「学校及び保育所から市町村又は児童相談所への定期的な情報提供に関する指針」を策定するとともに,都道府県・政令指定都市の教育委員会,福祉部門等宛てに通知し,学校等から児童相談所等への定期的な情報提供や児童虐待の早期発見・早期対応,通告後の関係機関との連携等の促進を図った。

警察では,児童ポルノや児童買春に関する情勢の深刻さや被害の未然防止の必要性等について,ポスター及びリーフレットの作成,警察庁等のホームページへの掲載等による広報啓発活動を推進している。

経済産業省では,関係者と連携し,フィルタリング等に関する情報提供・普及啓発活動を実施して,フィルタリングの普及を行っている。