平成23年版男女共同参画白書

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第3節 外国人が安心して暮らせる環境の整備

文化庁においては,我が国に居住する外国人にとって,日本語能力等が十分でないこと等から,外国人が安心・安全に生活できないという問題を解決し,外国人が円滑に日本社会の一員として生活を送ることができるよう,平成19年度から,日本語教室の設置運営,日本語能力等を有する外国人等を対象とした日本語指導者養成,ボランティアを対象とした実践的研修等を行う「生活者としての外国人」のための日本語教育事業を実施している。

文部科学省では,昨今の景気後退により,不就学・自宅待機等となっているブラジル人等の子どもに対して,平成21年度補正予算において3年間の予定で,日本語等の指導や学習習慣の確保を図るための教室を設置し,公立学校等への円滑な転入ができるようにする「定住外国人の子どもの就学支援事業」を国際移住機関(IOM)において実施しており,23年度は39教室において引き続き実施する。

また,外国人の子どもが公立学校に入りやすくなるよう,日本語指導や適応支援等の受入体制を整備する取組を支援する。

さらに,学習指導要領に基づき,子どもたちが広い視野を持って異文化を理解し,共に生きていこうとする姿勢を育てるため,国際理解教育を推進する。

厚生労働省においては,配偶者からの暴力被害者である在留外国人への適切な支援を確保するため,専門的な知識を持った通訳者の養成を行うための専門通訳者養成研修事業を推進している。

人身取引対策に関する関係省庁では,「人身取引対策行動計画2009」に基づき,人身取引対策の取組を進める(第4章第3節参照)。

法務省では,人身取引が重大な人権侵害・犯罪である等の認識の下,被害者である外国人に対しては,関係機関と連携して身体の保護を確実なものとする一方,被害者本人の意思に配慮しつつ,法の規定に基づき保護措置を講じ,不法残留等の入管法違反の状態にある外国人被害者に対しては在留特別許可を付与するなど,被害者の法的地位の安定を図る。

日本司法支援センター(法テラス)では,人身取引被害者が,加害者に対して損害賠償請求を行うに当たっては,当該被害者が我が国に住所を有し,適法に在留している場合であって,収入等の一定の要件を満たすときには,総合法律支援法(平成16年法律第74号)に基づく民事法律扶助制度が活用可能であることから,民事法律扶助制度の周知を行う。また,人身取引被害者が被害者参加人として刑事裁判に参加するに当たっては,収入等の一定の要件を満たす場合には,法テラスを経由して国選被害者参加弁護士の選定を請求することが可能であることから,被害者参加人のための国選弁護制度の周知も併せて行う。