平成23年版男女共同参画白書

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第1節 国の政策・方針決定過程への女性の参画の拡大

1 女性国家公務員の採用・登用等の促進

(1) 女性国家公務員の採用・登用等の促進

女性国家公務員の採用・登用については,「男女共同参画基本計画(第2次)」において,平成22年度頃までの政府全体としての採用者に占める女性の割合の目安として,国家公務員採用I種試験の事務系の区分試験(行政,法律,経済)については30%程度,その他の試験については,I種試験の事務系の区分試験の目標を踏まえつつ,試験毎の女性の採用に係る状況等も勘案して,できる限りその割合を高めることや「女性の参画加速プログラム」(平成20年4月男女共同参画推進本部決定)において,本省課室長相当職以上に占める女性の割合を22年度末までに5%程度とする目標を掲げ,各府省は目標達成に向けて取組を進めてきた。

人事院では,公務に優秀な女性を確保するという観点から,女子学生セミナーを全国11都市延べ12回実施し,募集パンフレットの作成,動画を利用したHPによる情報提供等女子学生に対する人材確保活動を行った。また,女性職員の登用拡大に向けて女性職員研修,メンター養成研修を積極的に行ったり,各府省の人事担当課長からなる「女性職員の採用・登用拡大推進会議」を平成23年2月15日に開催し,新たに策定された指針について周知徹底を図るとともに,意見交換を行うなど,啓発に努めている。

人事院及び総務省は,共同で,各府省における女性国家公務員の採用・登用の拡大等の取組状況についてのフォローアップを実施し,その結果を平成22年7月に公表した。22年度の国家公務員I種試験等の事務系区分については,採用者に占める女性の割合は25.7%となり,前年度に比べると4.9ポイント減少したものの,過去2番目に高い割合となった。21年1月現在の本省課室長相当職以上に占める女性の割合は2.2%となっており,引き続き,女性の登用が課題となっている。

「第3次男女共同参画基本計画」においては,女性国家公務員の採用について,国家公務員試験からの採用者に占める女性の割合について,試験の種類や区分ごとの女性の採用に係る状況等も考慮しつつ,平成27年(2015年)度末までに,政府全体として30%程度とすることを目標とし,これに加えて,国家公務員採用I種試験の事務系の区分試験の採用者に占める女性の割合を政府全体で30%程度とすることも併せて目標とすることを盛り込んだ。女性国家公務員の登用については,「2020年30%」の目標の達成に向けた政府全体の中間目標として,27年(2015年)度末までに政府全体として,国の本省課室長相当職以上に占める女性の割合について5%程度とすることを目指すことを基本とし,さらに,国の地方機関課長・本省課長補佐相当職以上に占める女性の割合について10%程度,国の指定職相当に占める女性の割合について3%程度とするよう努め,女性職員の登用を積極的に進めることとし,その際,各府省において,女性職員の人数,割合等の現状やこれまでの採用及び人材育成の取組の進捗等を考慮して,できる限りそれぞれの割合が高まるよう取り組むこととしている。

「第3次男女共同参画基本計画」を踏まえ,人事院は,「女性国家公務員の採用・登用の拡大等に関する指針」を平成23年1月14日に改定し,各府省に発出した。主な改定の内容は,(ア)各府省は,平成27年度までの「女性職員の採用・登用拡大計画」を策定するものとし,当該計画は,職員への周知に努めること,(イ)各府省は,現状分析を行い,府省全体及び部局等の適切な区分について,目標,目標達成に向けての具体的取組等を定めること,(ウ)各府省は,人事評価の活用等による人材の育成・活用を図るとともに,登用を阻害する要因の見直しや転勤自体の必要性の見直し・キャリアパスの多様化等についても検討を行うこと,(エ)各府省は,職員への職務経験の付与に当たっては適切な指導・育成を,付与後においては必要な支援を行うこと等である。人事院は指針改正に併せ,各府省や職員への参考に資するため,官民双方の先行事例等をまとめた指針の参考資料を作成・配布した。同指針に基づき,各府省は27年(2015年)度までの目標及び目標達成のための具体的取組を設定した5年間の計画である「女性職員の採用・登用拡大計画」を策定することとしている。


(2) 仕事と育児・介護等家庭生活との両立支援

人事院及び各府省は,育児・介護を行う職員の職業生活と家庭生活との両立を支援することが必要であるとして,これまで育児短時間勤務制を導入するなど,職場環境の整備に努めている。

育児休業については,「新成長戦略」(平成22年6月18日閣議決定)を踏まえて,各府省において男性職員の育児休業取得促進を率先して実施し,平成32年(2020年)までに,政府全体として13%となることを目指している。

また,我が国が直面している急速な少子化に対応するためには,家族を構成する男女が共に家庭生活における責任を担いつつ,仕事と生活の調和を図り得るような勤務環境を整備することが重要な課題となっていることから,平成22年6月30日から,配偶者が育児休業をしている職員についても育児休業等をすることができるようにすること及び子の出生の日から一定期間内に最初の育児休業をした場合に当該子について再度の育児休業をすることができるようにするなど,制度面での拡充を行ってきている。

さらに,平成22年8月に人事院は,非常勤職員に係る日々雇用の仕組みを廃止し,任期を定めて任用される期間業務職員制度を設けたことに伴い,仕事と育児の両立を図る観点から,一定の非常勤職員について,育児休業等をすることができるようにすることが適当と判断し,国家公務員の育児休業等に関する法律の改正を行うよう,国会と内閣に意見の申出を行った。

政府は,人事院の意見の申出を踏まえ,国家公務員の育児休業等に関する法律の一部改正法案を第176回国会に提出した。同法案は平成22年11月に成立し,23年4月1日から施行されることとなった。

人事院は,同法律の改正を踏まえて,平成23年3月に「育児・介護を行う職員の仕事と育児・介護の両立支援制度の活用に関する指針」を改正するとともに,両立支援制度の周知を図るためのリーフレットを作成し,各府省に配布した。また,23年3月に各府省の両立支援の取組を促進するため,「仕事と育児・介護の両立支援に関する連絡協議会」を開催した。

また,超過勤務の縮減については,平成22年8月の人事院勧告時の公務員人事管理に関する報告において,在庁状況の把握,必要な指導などの具体的な取組を政府全体として引き続き推進すること,各大臣のリーダーシップの下,政務三役等が自ら率先して超過勤務縮減に取り組むことが強く求められることについて言及した。

2 国の審議会等委員への女性の参画の促進

国の審議会等における女性委員の割合については,平成18年4月に,男女共同参画推進本部決定により,審議会等の委員について,政府全体として,女性委員の割合が22年度末までに少なくとも33.3%,32年までに,男女のいずれかが10分の4未満とならない状態を達成するよう努めるという目標が設定されている。また,専門委員等についても,22年度末までに20%,32年までのできるだけ早い時期に,30%となるように努めることとされている。

平成22年9月末現在,女性委員の割合は33.8%となり,22年度末までの目標を達成した一方,女性の専門委員等の割合については,17.3%であり,目標に比べまだ低い状況にある。32年までの目標は「第3次男女共同参画基本計画」にも盛り込み,取組を進めていくこととしている。

内閣府では,各府省が国の審議会等の女性委員の人材情報を収集する際の参考とするため,女性人材データベースを運用するとともに,当該データベースの既登録内容の更新・新規登録情報の開拓,適切なセキュリティ対策に努め,女性の人材に関する効果的な情報提供が可能となるよう,利便性の向上を目指し,改善に取り組んでいる。

3 政治分野における女性の参画の拡大

「第3次男女共同参画基本計画」においては,政治分野における女性の参画の拡大についての取組を盛り込んだ。これを受け,内閣府では,平成23年2月22日付けで内閣府特命担当大臣(男女共同参画)から各政党に宛てて,要請文を発出し,各政党の役員等に占める女性の割合や,衆議院議員及び参議院議員の選挙,地方公共団体の議会の選挙における女性候補者の割合が高まるよう,内閣府副大臣による政党幹事長への要請文の手交等の協力要請を実施した。