平成23年版男女共同参画白書

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コラム2

男女の平等推進と組織の社会的責任~ISO26000社会的責任に関する手引~


近年,グローバリゼーションや,コミュニケーション技術の発達により,世界中の組織の決定及び活動が多様なグループや個人による監視の対象になり得るようになったことを受け,組織の社会的責任に関する意識の高まりが見られる。

社会的責任(Social Responsibility,以下「SR」という。)とは,組織の活動が社会及び環境に及ぼす影響に対して組織が担う責任のことであり,企業だけではなく,全ての組織を対象とする考え方である。

各国の標準化機関の世界的連合である国際標準化機構(ISO)はSRの国際標準化に関する検討を行い,2010年11月,SRの国際規格であるISO26000を発行した。

ISO26000では,SRの中核主題の一つとして人権の尊重を掲げ,組織に対して女性の権利を尊重し,経済的,社会的及び政治的分野における男女平等を推進することを期待するとともに,実行可能な場合は,差別又は過去の差別の名残を是正するよう努力すべきとしている。

社会的・構造的な差別によって不利益を被っている者に対して,一定の範囲で特別の機会を提供すること等により,実質的な機会均等を実現することを目的として講じる暫定的な措置であるポジティブ・アクションは,ISO26000が推奨する差別又は過去の差別の名残の是正のための手段の一つと考えられる。