平成22年版男女共同参画白書

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第2節 配偶者等からの暴力の防止及び被害者の保護等の推進

1 関係機関の取組及び連携に関する基本的事項

関係府省では,配偶者暴力防止法及び同法に基づく「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のための施策に関する基本的な方針」(平成20年内閣府,国家公安委員会,法務省,厚生労働省告示第1号)に沿って,配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のための施策を積極的に推進している。

全国の都道府県等には,配偶者暴力防止法に基づいて,188か所(平成22年4月現在)の配偶者暴力相談支援センターが設置されており,配偶者からの暴力に係る相談,カウンセリング,一時保護(婦人相談所のみ),自立支援等の業務を実施している。

内閣府では,配偶者からの暴力の被害者支援に役立つ法令,制度及び関係施設についての情報等を収集し,平成14年4月より,内閣府のホームページを通じ,外国語版も含め提供している。

また,配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護・自立支援に関する官民連携を一層推進するため,官民の担当者が一堂に会し,先進的好事例及び情報を共有する「DV全国会議」を平成21年10月に開催した。

法務省の人権擁護機関は,婦人相談所等の関係機関との情報及び意見の交換を活発に行い,被害女性の救済について,より一層積極的に取り組んでいる。

法務省入国管理局では,地方入国管理局等の総務課に関係機関等との窓口となるDV対策事務局を設置するなどの体制を構築し,関係機関等との連携強化を図るとともに,外国人被害者の保護に努めている。

厚生労働省では,配偶者からの暴力被害者の保護及び自立支援について,婦人相談所と関係機関等との連携の強化を図っている。具体的には,各都道府県において,婦人相談所と福祉事務所,民間シェルター等関係機関との定期的な連絡会議や事例検討会議を開催するとともに,事例集や関係機関の情報を掲載したパンフレットを作成・配布している。

2 相談体制の充実

内閣府では,配偶者からの暴力についてどこへ相談したらよいか分からないという被害者に対し,平成22年2月から,全国共通のダイヤルから最寄りの相談窓口の電話番号を案内する「DV被害者のための相談機関電話番号案内サービス(DV相談ナビ)」において,被害者の希望する相談窓口に電話をつないで直接相談できるサービスを開始し,相談体制の強化を図っている。

警察では,各都道府県警察の相談窓口の利便性を向上させ,事情聴取に当たっては,被害者を夫・パートナーから引き離して別室で行うなどして,被害者が相談・申告しやすい環境の整備を図っている。

また,厚生労働省では,婦人相談所におけるDV等に関する相談・援助等において,弁護士等による法的な調整や援助を得る法的対応機能強化事業を実施している。

3 被害者の保護及び自立支援

内閣府では,民間団体と連携し,地域において生活している被害者及びその子どもを支援し,社会参画を促進するためのプログラム案を作成・試行し,その結果を取りまとめ,普及を図る「配偶者からの暴力被害者の自立支援モデル事業」を実施した。

厚生労働省では,婦人相談所が被害者及び同伴する家族の一時保護を自ら実施するとともに,厚生労働大臣が定める基準を満たす民間シェルター等に一時保護を委託している。平成21年度においては,被害者の保護,自立支援等の一層の充実を図るため,婦人相談所が被害者を一時保護委託するための経費のうち,新たに乳幼児用の単価を設定しケアの充実を図るとともに,指導員配置による婦人保護施設における同伴児童のケアの充実や,専門通訳者養成研修の実施による外国人被害者支援を図っている。

4 外国人被害者の保護

法務省では,配偶者暴力防止法の趣旨を踏まえ,配偶者からの暴力により,別居又は離婚の状況が発生している外国人から,在留期間更新許可申請又は在留資格変更許可申請があった場合には,個々の事情を考慮した上で,継続して在留を認めることとしている。

また,被害者である外国人が退去強制事由該当者であった場合にも,個々の事情を考慮した上で,安定的な法的地位を認めるとの観点から,在留特別許可を判断することとしている。