平成22年版男女共同参画白書

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第1節 就業者をめぐる状況

(労働力人口の推移)

総務省「労働力調査(基本集計)」(平成21年)によると,労働力人口は平均6,617万人で,前年に比べ33万人減少し,2年連続の減少となった。男女別にみると,男性が3,847万人(前年比41万人減)で2年連続の減少となり,女性は2,771万人(前年比9万人増)で2年ぶりの増加となった。昭和50年以降でみると,労働力人口に女性が占める割合は63年に4割を超え,平成21年は41.9%となっている。

労働力人口比率(15歳以上人口に占める労働力人口の割合。以下「労働力率」という。)をみると,平成21年平均は59.9%で前年比0.3ポイントの低下となった。男女別の労働力率では,女性は48.5%で前年比0.1ポイントの上昇,男性は72.0%で前年比0.8ポイントの低下となった。

(女性の年齢階級別労働力率(M字カーブ)の変化)

女性の年齢階級別労働力率について昭和50年からほぼ10年ごとの変化をみると,現在も依然として「M字カーブ」を描いているものの,そのカーブは以前に比べかなり浅くなっており,M字部分の底となっている年齢階級も変化している。

昭和50年では25~29歳(42.6%)及び30~34歳(43.9%)の2つの年齢階級が底となっていたが,25~29歳の労働力率は次第に上がり,平成21年(77.2%)では,年齢階級別で最も高い労働力率となっている。M字の底は21年をみると30~34歳(67.2%)及び35~39歳(65.5%)の2つの年齢階級が底となっている。しかしながら,30~34歳においても,7年からの14年間だけで労働力率が13.5ポイントも上昇しており,M字カーブは台形に近づきつつある。

このM字カーブの変化は,女性の晩婚・晩産化による子育て年齢の上昇を反映したものと考えられる(第1-2-1図)。

第1-2-1図 女性の年齢階級別労働力率の推移 別ウインドウで開きます
第1-2-1図 女性の年齢階級別労働力率の推移

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(女性の約8割が第3次産業従事者)

産業別に就業者割合をみると,男女ともに第1次産業はほぼ一貫して低下する一方,第3次産業の割合が高まってきている。女性で特にその傾向が顕著であり,第1次産業,第2次産業の割合はほぼ一貫して低下し,平成21年には約8割が第3次産業の就業者となっている。これに対し男性は,女性に比して第1次産業,第2次産業とも低下が緩やかであり,21年においてもその就業者は4割程度を占めている(第1-2-2図)。

職業別の就業者割合についてみると,男女とも農林漁業作業者の割合が大きく減少してきたことが目立っている。製造・制作・機械運転及び建設作業者の割合は,女性はほぼ一貫して低下しており,男性は近年低下傾向にあるものの,現在でも最も割合が高くなっている。男女とも専門的・技術的職業従事者,事務従事者,保安職業・サービス職業従事者の割合は増加傾向にあり,特に女性において顕著であって,平成21年にはこれら3つの職業で6割を超えている(第1-2-3図)。

第1-2-2図 産業別就業者構成比の推移(性別) 別ウインドウで開きます
第1-2-2図 産業別就業者構成比の推移(性別)

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第1-2-3図 職業別就業者構成比の推移(性別) 別ウインドウで開きます
第1-2-3図 職業別就業者構成比の推移(性別)

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(就業者に占める雇用者割合の上昇)

就業者を従業上の地位別にみると,就業者に占める雇用者の割合が上昇し続け,自営業者及び家族従業者の割合は低下し続けている。平成21年では,就業者に占める雇用者割合は女性87.6%,男性86.4%となっている(第1-2-4図)。

第1-2-4図 就業者の従業上の地位別構成比の推移(性別) 別ウインドウで開きます
第1-2-4図 OECD諸国の女性(25 ~ 54 歳)の就業率

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(長期的には増加傾向にある非正規雇用者)

雇用者のうち,正規の職員・従業者に占める女性割合は約3割で,昭和60年以降,おおむね横ばいで推移している。一方,全体の女性雇用者数は増加傾向が続いている。このうち平成21年の非正規雇用者数は,前年に比べると6万人の減少だったものの,14年からの7年間で175万人増加しており,長期的には増加傾向にある。

正規の職員・従業員が役員を除く雇用者(非農林業)全体に占める割合を男女別にみると,女性は昭和60年に68.1%であったが,平成21年には46.7%にまで減少している。男性についても,昭和60年は92.8%であったが,平成21年には81.7%に減少している。男女ともパート・アルバイトなどの非正規雇用者の割合は上昇傾向にあり,特に女性はその割合が昭和60年の31.9%から平成21年には53.2%にまで上昇しており,過半数を占めるに至っている(第1-2-5図)。

また,総務省「労働力調査」(平成21年)によると,労働者派遣事業所の派遣社員数は平成20年まで増加傾向にあったが,21年には108万人(うち女性は72万人)で,前年より32万人減となっている(第1-2-6図)。

第1-2-5図 雇用形態別にみた役員を除く雇用者(非農林業)の構成割合の推移(性別) 別ウインドウで開きます
第1-2-5図 雇用形態別にみた役員を除く雇用者(非農林業)の構成割合の推移(性別)

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第1-2-6図 労働者派遣事業所の派遣社員数の推移 別ウインドウで開きます
第1-2-6図 労働者派遣事業所の派遣社員数の推移

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(企業が進める非正社員の雇用)

厚生労働省「就業形態の多様化に関する総合実態調査」(平成19年)によると,正社員以外の労働者がいる事業所の割合は77.2%となっている。正社員以外の労働者がいる事業所の割合を就業形態別にみると,パートタイム労働者がいる事業所の割合が59.0%と最も高く,次いで嘱託社員が12.9%,派遣労働者が11.6%となっている。正社員以外の労働者の活用理由(複数回答3つまで)をみると,「賃金の節約のため」が40.8%と最も高く,次いで「1日,週の中の仕事の繁閑に対応するため」31.8%,「即戦力・能力のある人材を確保するため」25.9%の順となっている(第1-2-7図)。

第1-2-7図 正社員以外の労働者を活用する理由(事業所割合,複数回答3つまで) 別ウインドウで開きます
第1-2-7図 正社員以外の労働者を活用する理由(事業所割合,複数回答3つまで)

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(雇用者の高学歴化の進展)

雇用者の学歴構成の推移をみると,男女ともに中卒,高卒は減少傾向にある一方で高専・短大卒及び大学・大学院卒は増加傾向にある。これは,近年の高等教育機関への進学率上昇に伴い,新規学卒就職者が高学歴化しているためと考えられる。

男女別にみると,女性については,雇用者に占める大学・大学院卒の割合は上昇傾向にあり,平成21年では20.0%となっている。しかしながら,女性雇用者全体に占める割合は,高専・短大卒の方が大学・大学院卒より依然高くなっている。男性については,大学・大学院卒の割合は21年で36.8%と,女性よりもかなり高くなっている(第1-2-8図)。

第1-2-8図 学歴別一般労働者の構成割合の推移(性別) 別ウインドウで開きます
第1-2-8図 学歴別一般労働者の構成割合の推移(性別)

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