平成22年版男女共同参画白書

本編 > 第1部 > 特集 > 第4節 生活者の視点による新たな市場の創造

第4節 生活者の視点による新たな市場の創造

(消費における男女の特徴)

今後の成長分野と位置付けられている「環境・エネルギー」,「健康」,「観光・地域活性化」の分野における将来の消費意欲をみると,女性の方が高い(第7図)。また,これらの商品・サービスの購入・利用の選択に当たり,「環境」や「安全性」を重視する者の割合は女性の方が高い傾向があった。

第7図 今後お金をかけたい消費分野(性別)第7図 今後お金をかけたい消費分野(性別)

第8図を見ると,積極的に育児をする男性はそれ以外の男性に比べて幅広い分野で消費意向が高く,特に生活に関連する分野で高い傾向がある。

また女性においても,観光関連分野に加え,子育て関連分野,自己啓発などの分野において,結婚・子育て後も職業を持ち続けたいとする女性の消費意向が高い傾向にある(第9図)。

第8図 今後お金をかけたい消費分野(男性,ライフスタイル別)第8図 今後お金をかけたい消費分野(男性,ライフスタイル別)

第9図 今後お金をかけたい消費分野(女性,ライフスタイル別)

第9図 今後お金をかけたい消費分野(女性,ライフスタイル別)

以上のことから,女性や生活者の視点を取り込むことが環境・エネルギー,健康,観光といった成長分野における需要の掘り起こしにとって重要と考えられることに加え,女性の労働市場への参加,男性の家事・育児への参加,「イクメン(積極的に育児をする男性)」の増加など,人々のライフスタイルの変化の中には新たな需要創造のフロンティアが潜んでいる可能性が大きい。

(生活者の視点をいかした女性の起業)

近年,女性による起業が増加している。起業分野をみると,女性では生活密着型の分野で多くなっている。

農村における女性の起業も増加している(第10図)。食品加工,販売・流通などの分野での起業活動が多いが,これらの中には,その地域で自らが携わる農業・畜産などの「生産物」と,それを起点とする「食」,「観光」などを結び付けようとする動きや,単に売上げ拡大を目指すだけでなく,地域内・外の人々や組織のネットワーク化を図ることで地域の活性化につなげようとする取組がみられる。

このような女性の起業の流れを後押しすることは,新たな需要の創造に寄与していくものと考えられる。

第10図 農村女性による起業数の動向 第10図 農村女性による起業数の動向