平成22年版男女共同参画白書

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第1節 就業における女性の参画の状況

(産業構造の変化と増加傾向にある女性の雇用機会)

近年,男性雇用者は減少している一方で,女性雇用者は増加している。建設業や製造業で雇用者が減少する一方で,女性の雇用者が多い医療・福祉の分野の雇用が増加するなど,産業構造の変化が,女性の雇用者を増やす方向に働いてきているものと考えられる。

(女性で高い非正規労働者割合と男女の給与格差)

非正規労働者の約7割は女性であり(総務省「労働力調査」(平成21年)),女性労働者に占める非正規労働者の割合も5割を超えている。

男性一般労働者の給与水準を100とした場合,女性一般労働者の給与水準は69.8となっている。また,1時間当たり平均所定内給与額は,男性一般労働者の給与水準を100としたとき,男性短時間労働者,女性短時間労働者の給与水準は各々54.8,49.1となっている。

(M字型の女性労働力率)

我が国の女性の労働力率の現状を年齢階級別にみると,30歳代を底としたいわゆるM字カーブを描いているが,米国,ドイツ,スウェーデンでは,このようなM字のくぼみは見られない。我が国においてM字カーブが見られることの背景には,依然として結婚,出産,子育て期に就業を中断する女性が多いことが挙げられる。

一方で,M字のくぼみの年齢階級を中心に,非労働力人口のうち就業を希望している女性の数は,345万人に上っており,男女合わせた就業希望者全体(471万人)の約7割となっている。

(国際的にみて不十分な女性の活躍機会)

国連開発計画(UNDP)では,各国の人間開発の程度を表す人間開発指数(HDI:Human Development Index)という数値と,女性の政治や経済への参画の程度を表すジェンダー・エンパワーメント指数(GEM:Gender Empowerment Measure)という数値を毎年公表している。2009(平成21)年の数値を見ると,日本はHDIが182か国中10位と世界の中でも高い水準にあるのに対し,GEMは109か国中57位にとどまっている。

(経済成長と女性の参画の拡大)

国際的には女性の参画の拡大と経済成長とを積極的に関連づけて取り組もうとする動きがある。女性の経済への参画を促進し所得を増やすことは,財政や社会保障の担い手を増やすことだけでなく,可処分所得の拡大を通じた消費の活性化にもつながるとの考え方が背景にある。