平成21年版男女共同参画白書

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第2節 多様なライフスタイルに対応した子育て支援策の充実

厚生労働省では,平成18年末に発表された新たな将来人口推計において,更に少子・高齢化が進行するという厳しい結果が示されたことを念頭に置くとともに,「子ども・子育て応援プラン」(平成16年12月少子化社会対策会議決定)等に基づき施策の拡充に努めるとともに,「子どもと家族を応援する日本」重点戦略(平成19年12月少子化社会対策会議決定)を踏まえ,次世代育成支援のための新たな制度体系の設計について,税制改革の動向も踏まえながら,引き続き,速やかに検討を進め,子育て支援対策の総合的な推進を図ることとしている。

また,平成20年11月,新たな子育て支援サービスの創設,虐待を受けた子ども等に対する家庭的環境における養育の充実等の措置を講ずる児童福祉法等の一部を改正する法律が成立した。主な内容は,(1)すべての乳児のいる家庭を訪問することにより,子育て支援に関する情報提供や養育環境等の把握,相談助言等の援助を行う「乳児家庭全戸訪問事業」や,養育支援が必要な家庭に対して,訪問による養育に関する相談,指導・助言等の支援を行う「養育支援訪問事業」,乳幼児とその保護者が相互の交流を行う場所を開設し,子育てについての相談,情報提供,助言等の援助を行う「地域子育て支援拠点事業」等の子育て支援サービスの法定化,(2)子どもを守る地域ネットワーク(要保護児童対策地域協議会)の機能強化,(3)里親制度の改正及び小規模住居型児童養育事業の創設等家庭的養護の拡充,家庭支援機能の強化,年長児の自立支援策の見直し,施設内虐待(被措置児童等虐待)の防止等の規定等が盛り込まれたところであり(一部を除き平成21年4月1日施行),これら施策を推進していく。

文部科学省では,幼児教育振興アクションプログラムに基づき,次代を担う子どもの成長を支えるための環境の整備に努める。

また,文部科学省と厚生労働省が連携し,平成18年に創設した「認定こども園」制度の普及促進を図るとともに,19年度に創設した「放課後子どもプラン」の着実な推進を図り,原則として,すべての小学校区での実施を目指す。

さらに,身近な地域における家庭教育支援を推進するため,地域の子育て経験者や専門家等の連携による「家庭教育支援チーム」を設置し,積極的かつきめ細かな相談体制の充実を図るとともに,平成18年度から行っている,早寝早起きや朝食をとるなど,子どもの望ましい基本的な生活習慣を育成し,生活リズムを向上させるための「早寝早起き朝ごはん」国民運動を,様々な民間団体と連携して一層推進する。

経済産業省では,子育て支援や福祉などを始めとして様々な社会的課題が顕在化してきていることから,これらの課題をビジネスの手法を用いて解決を図る活動を行う事業者が,そのノウハウを同様の課題を抱える地域へ移転展開する活動等に対し支援を行い,地域経済の活性化を図る。

また,商店街の空き店舗を活用して,保育所等の育児支援施設を設置・運営する際の改装費や賃借料など立ち上げに係る費用の一部を補助することにより,待機児童問題の解消や女性の社会進出といった少子化社会等への対応を推進する。

国土交通省では,引き続き住宅金融支援機構の証券化支援事業の枠組みを活用し,親子リレー返済制度による子育てに適した広い住宅の建設の支援や,優良住宅取得支援制度による耐久・可変性能が特に高い住宅に係る金利引下げを行う。また,高齢者の所有する戸建て住宅等を広い住宅を必要とする子育て世帯等への賃貸を円滑化する住み替え支援制度や,地域優良賃貸住宅制度により子育て世帯に賃貸住宅の供給を促進する。さらに,安心住空間創出プロジェクトの推進等により,子育てを支援する良質な住宅や居住環境の整備を推進する。

また,ひとり親家庭等に対する支援として,厚生労働省では,母子家庭の母等について,平成15年4月に施行された改正母子及び寡婦福祉法(昭和39年法律第129号)に基づき,子育て短期支援事業,日常生活支援事業等の子育て・生活支援策,母子家庭自立支援給付金等の就業支援策,養育費相談支援センターの設置等の養育費の確保策,児童扶養手当の支給,母子寡婦福祉貸付金の拡充等の経済的支援策といった自立支援策を引き続き総合的に展開することとしている。

さらに,「生活対策」(平成20年10月30日新たな経済対策に関する政府・与党会議,経済対策閣僚会議合同会議)に基づき,平成21年2月から高等技能訓練促進費の支給期間の延長を実施しているところであり,21年度においても,引き続きこれを実施するなど母子家庭の母の就業支援策等の充実を図ることとしている。

国民生活センターでは,消費生活や消費者問題に関する専門性を有した講師を,子育て中の保護者等の要望に応じた場所に派遣し,消費生活や消費者問題に関する情報提供や相談機関の周知を行う。