平成21年版男女共同参画白書

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第1節 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)をめぐる状況

(仕事と生活の調和の認知度)

内閣府「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する特別世論調査」(平成20年)によると,仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)という言葉をどの程度ご存知ですか,という質問に対し,「名前を聞いたことがある」人の割合は約4割となっているが,「名前も内容も知っている」人の割合は約1割にとどまっており,まだ十分に知られていないことが分かる(第1-3-1図)。

第1-3-1図 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の認知度別ウインドウで開きます
第1-3-1図 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の認知度

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(仕事と生活の調和に関する希望と現実)

また,同世論調査において,全国20歳以上の者に,「仕事」,「家庭生活」,「地域・個人の生活」の優先度についての希望と現実を聞いたところ,全体としては,男女ともに「仕事と家庭生活をともに優先したい」といった複数の活動をバランスよく行いたいとする人の割合が高くなっているが,現実には,「仕事」あるいは「家庭生活」など,単一の活動を優先している人の割合が高い傾向がみられる。とりわけ,男性の20~40歳代では,現実に仕事を優先している人の割合が5割程度と高く,30歳代の女性では家庭生活を現実に優先している人の割合が5割程度となっている。また,60歳代以上では,「家庭生活を優先したい」人の割合が高いが,現実に優先している人の割合はそれ以上に高く,希望と現実の乖離がみられる(第1-3-2図)。

第1-3-2図 仕事と生活の調和に関する希望と現実 別ウインドウで開きます
第1-3-2図 仕事と生活の調和に関する希望と現実

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(女性のライフステージに応じた働き方の希望と現実)

女性の働き方の希望は,結婚・出産や子どもの年齢とともに変化している。子どもが小さな時期は,働きたくないという人もいるが,子どもが中学生以上では9割以上の人が働くことを希望している。働き方も子どもの年齢があがるとともにフルタイムで働くことを希望する人が増えるなど変化がみられる。一方,現状をみると,働いていない人が希望よりも多く,働き方も多くがパート・アルバイトに集中しており,希望と現実の間にギャップがみられる(第1-3-3図)。

第1-3-3図 女性のライフステージに応じた働き方の希望と現実 別ウインドウで開きます
第1-3-3図 女性のライフステージに応じた働き方の希望と現実

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(男性の育児参画の希望と現実)

厚生労働省「今後の仕事と家庭の両立支援に関する調査結果」(平成20年)によると,育児休業制度を「利用したいと思う」男性の割合は31.8%,育児のための短時間勤務制度を利用したい男性の割合は34.6%となっている(第1-特-52表(再掲))。しかし,男性の育児休業取得率をみると,平成19年は1.56%と低く,制度を利用したいと思っているものの実際には利用していない男性が少なからずいることが分かる。

(地域の活動への参加を妨げる要因)

個人の活動には,仕事,家庭生活,個人の自己啓発,地域活動など様々な活動が含まれる。内閣府「国民生活選好度調査」により,NPOやボランティア,地域での活動に参加する際に苦労すること,または参加できない要因となることをみると,「活動する時間がないこと」が最も多くなっている(第1-3-4図)。

第1-3-4図 地域活動などに参加する際苦労すること,または参加できない要因となること 別ウインドウで開きます
第1-3-4図 地域活動などに参加する際苦労すること,または参加できない要因となること

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(長時間労働と心身の状況)

前述の世論調査では20歳代から40歳代の男性が希望に反して仕事優先となっている現状がうかがえるが(第1-3-2図(再掲)),総務省「労働力調査」により実際の就業時間の状況をみると,週35時間以上働く者のうち週60時間以上働く者の割合は,30歳代,40歳代が最も高く,約2割の就業者が週60時間以上働いていることになる(第1-特-44図(再掲))。

こうした長時間労働は,心身の状況にも影響を与えている。労働者に対する意識調査をみると,「一日の仕事で疲れ退社後何もやる気になれない」と感じることが「いつも」あるいは「しばしば」ある人の割合は,月間の超過労働時間が50時間を超えると約6割から7割となっている。残業が多いほど,仕事で疲れて退社後何もやる気になれないと感じている割合が高いということが分かる(第1-3-5図)。

第1-3-5図 「一日の仕事で疲れ退社後何もやる気になれない」人の割合 別ウインドウで開きます
第1-3-5図 「一日の仕事で疲れ退社後何もやる気になれない」人の割合

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