平成21年版男女共同参画白書

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第3節 様々な分野における女性の参画

(着実に増加する司法分野における女性割合)

裁判官,検察官,弁護士に占める女性割合は,着実に増加している。

司法試験合格者に占める女性割合は,年によって増減があるが,平成20年度は旧司法試験については27.1%,新司法試験については27.3%である。また,法曹養成に特化した教育を行う専門職大学院である法科大学院において女子学生の比率は約3割を占めていることから,今後の司法分野での女性の参画拡大が期待される(第1-1-11図)。

第1-1-11図 司法分野における女性割合の推移 別ウインドウで開きます
第1-1-11図 司法分野における女性割合の推移

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(農山漁村における政策・方針決定過程への女性の参画)

農林水産業に従事する女性は,それぞれの産業の重要な担い手であるとともに,地域社会の活性化に大きく貢献している。

しかしながら,農業委員会,農業協同組合,沿海地区出資漁業協同組合など,地域における政策・方針決定過程への女性の参画は徐々に増加しているものの,その比率はまだ低いものとなっている(第1-1-12表)。

第1-1-12表 農業委員会,農協,漁協への女性の参画状況の推移 別ウインドウで開きます
第1-1-12表 農業委員会,農協,漁協への女性の参画状況の推移

(メディアにおける女性の参画)

新聞や放送などのメディア分野における女性の参画は,提供する情報の内容が偏ることを防止したり,性・暴力表現の規制等,メディアが自主的に女性の人権に配慮した表現を行うように取り組んでいく上で重要な役割を果たすものと期待されている。新聞及び放送業界における女性の参画状況についてみると,新聞,民間テレビ・ラジオ,日本放送協会の全従業員に占める女性の割合,女性記者の割合,管理職割合は全体として徐々にではあるが増加している(第1-1-13図)。

第1-1-13図 各種メディアにおける女性の割合 別ウインドウで開きます
第1-1-13図 各種メディアにおける女性の割合

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(国際的にみても低い水準にある我が国の状況)

2008(平成20)年に国連開発計画(UNDP)が発表した「人間開発報告書」によると,日本は人間開発指数(HDI)が測定可能な179か国中8位であるのに対し,ジェンダー・エンパワーメント指数(GEM)は測定可能な108か国中58位となっている。また,世界経済フォーラムが2008(平成20)年に発表したジェンダー・ギャップ指数(GGI)は測定可能な130か国中98位となっている。

GEM及びGGIの順位はHDIの順位に比して低く,我が国は,人間開発の達成度では実績を上げているが,男女の格差が大きく,女性が政治・経済活動に参加し,意思決定に参加する機会が不十分であることが分かる。

GEMの上位5か国は,スウェーデン,ノルウェー,フィンランド,デンマーク,アイスランドであるが,これらの国では,その他の指標においても順位が高い傾向にある(第1-1-14表)。

第1-1-14表 HDI,GEM,GGIにおける日本の順位 別ウインドウで開きます
第1-1-14表 HDI,GEM,GGIにおける日本の順位

(注)

HDI 人間開発指数(Human Development Index)

国連開発計画(UNDP)による指標で,「長寿を全うできる健康的な生活」,「教育」及び「人間らしい生活水準」という人間開発の3つの側面を簡略化したもの。具体的には,平均寿命,教育水準(成人識字率と就学率),調整済み一人当たり国民所得を用いて算出している。

GEM ジェンダー・エンパワーメント指数(Gender Empowerment Measure)

国連開発計画(UNDP)による指標で,女性が政治及び経済活動に参加し,意思決定に参加できるかどうかを測るもの。HDIが人間開発の達成度に焦点を当てているのに対して,GEMは,能力を活用する機会に焦点を当てている。

具体的には,国会議員に占める女性割合,専門職・技術職に占める女性割合,管理職に占める女性割合,男女の推定所得を用いて算出している。

GGI ジェンダー・ギャップ指数(Gender Gap Index)

世界経済フォーラムが,各国内の男女間の格差を数値化しランク付けしたもので,経済分野,教育分野,政治分野及び保健分野のデータから算出され,0が完全不平等,1が完全平等を意味している。GEMが,国の開発レベルの影響を受け,必ずしも男女間格差を示せないことに比べ,性別による格差を明らかにできる。