平成20年版男女共同参画白書

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第13章 新たな取組を必要とする分野における男女共同参画の推進

第1節 科学技術

平成18年3月に閣議決定された「第3期科学技術基本計画」では,女性研究者がその能力を最大限に発揮できるようにするため,研究と出産・育児等の両立に配慮した措置を拡充することや,各機関や専攻等の組織ごとに,女性研究者の採用の数値目標(自然科学系全体としては25%)を設定し,その目標達成に向けて努力するとともに達成状況を公開するなど,女性研究者の積極的採用を進めるための取組を期待していることなどが盛り込まれている。

これを受けて,総合科学技術会議の方針の下,文部科学省では,平成18年度から,科学技術振興調整費のプログラムとして「女性研究者支援モデル育成」を設け,18年度において,10件の事業を採択したのに続き,19年度においても10件の新規課題を採択して取組の拡充を行い,女性研究者が研究と出産・育児等を両立し,研究活動を継続するための大学等の取組を支援している。また,同会議では,「科学技術の振興及び成果の社会への還元に向けた制度改革について」(平成18年12月総合科学技術会議決定・関係府省に意見具申)を策定し,育児をしながら女性も十分に研究活動ができ,出産・育児に伴う研究活動の中断を研究者としてのキャリアのマイナスとさせないため,「有期雇用者の育児休業取得条件等の緩和」や「育児期間中の勤務時間の短縮等の措置の拡充(在宅勤務制度の追加)」などの制度改革を提言しており,19年度には,それぞれの項目についてフォローアップを開始した。

また,平成15年度より,科学研究費補助金においては,育児休業に伴い研究を中断する女性研究者等を支援するため,中断の後の研究の再開を可能としている。また,独立行政法人日本学術振興会の特別研究員事業においても,18年度から,優れた研究者が出産・育児により研究を中断した後に,円滑に研究現場に復帰できるよう,研究奨励金の支給を実施している。

また,総合科学技術会議では,「競争的資金の拡充と制度改革の推進について」(平成19年6月14日総合科学技術会議決定)を策定し,女性研究者の活躍を拡大する環境整備のため,「出産・育児期間を考慮した応募資格の年齢制限の緩和」や「出産・育児休業から復帰しやすくするための年複数回応募等多様な支援措置の拡充」などを提言した。

独立行政法人科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業においては,出産・育児等に当たって研究者が,研究の中断・延長をすることを可能としているほか,研究に参加する研究員が研究に復帰する際に支援をする制度を設けている。

さらに,文部科学省では,科学技術分野への興味・関心を喚起するため,女子中高生に対し,女性研究者との交流機会の提供や実験教室,出前授業等を行う「女子中高生の理系進路選択支援事業」を平成18年度から実施するとともに,社会教育関係者等に向けた取組のモデルプログラム事例集を作成し,地域の男女共同参画センター等を対象とした指導者研究会を開催した。

内閣府では,関係省と連携し,女子高校生・学生等を対象に,平成17年度から,女性の進出が遅れている理工系分野に関する情報提供・意識啓発キャンペーンなどを実施している。