平成20年版男女共同参画白書

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第3節 女性にとっての仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の重要性

(女性の就業継続をめぐる状況は依然として厳しい)

女性就労が増加する中,男女にかかわらず働きやすい職場環境づくりの必要性が一層高まっているが,女性の就業継続や再就職をめぐる状況は依然として厳しい。

育児休業を取得している女性は増えているが,出産前後に継続就業している割合は増えておらず,出産を機に離職する女性は以前と変わらず多い(第1-3-8図)。また,きょうだい数1人(本人のみ)の世帯の出産前後の女性の就業状況をみると,出産を機に約7割(67.4%)の女性が仕事を辞めており(第1-3-9図),仕事と育児の二者択一の状況はここ20年間変わりない。

女性の労働力の特徴とされるいわゆるM字カーブについても,30歳代の子育て期に当たるM字の底が近年上がってきているが(第1-2-1図(前掲)),それは主に晩婚化によって未婚有業者が増えていることによるもので,結婚,出産した女性が継続就業あるいは再就業できる環境が整ってきたことによるものとはいえない(第1-3-10図)。

これまでに仕事を辞めた経験がある人の離職理由は「主として結婚」が最も多く,その場合の具体的な理由としては,「体力・時間的に厳しかったから」が最も多い(第1-3-11図)。

結婚や出産時に仕事を辞めることを自ら希望している人も少なくないが,辞める背景要因の一つとして残業などを含む働き方の問題があることがうかがえる。

また,いったん仕事を辞めても子どもが育つにつれて就労を希望する女性は多いが,実現されていない人が多い。子どもが小さいころは「家でできる仕事」,子どもが小学生の頃は「短時間勤務」,子どもが中学生以上になると「残業のないフルタイム勤務」を希望する人も多いが,現状では働くことを希望しながらも実現できていない人の割合が高い(第1-3-12図)。

第1-3-8図 子どもの出生年別第1子出産前後の妻の就業経歴 別ウインドウで開きます
第1-3-8図 子どもの出生年別第1子出産前後の妻の就業経歴

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第1-3-9図 出産前後の女性の就業状況の変化 別ウインドウで開きます
第1-3-9図 出産前後の女性の就業状況の変化

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第1-3-10図 女性の家族関係別にみた有業率 別ウインドウで開きます
第1-3-10図 女性の家族関係別にみた有業率

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第1-3-11図 仕事を辞めた理由及び結婚時に離職した理由 別ウインドウで開きます
第1-3-11図 仕事を辞めた理由及び結婚時に離職した理由

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第1-3-12図 ライフステージに応じた働き方の希望と現状 別ウインドウで開きます
第1-3-12図 ライフステージに応じた働き方の希望と現状

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(女性の就業継続を促進するには,男女の雇用機会の均等の確保が不可欠)

仕事と生活の調和した社会を実現することは,女性の就業継続,及び再就職を促進するために不可欠なものである。

しかし,それだけで女性の就業継続や再就職が進むとは限らない。財団法人21世紀職業財団「女性労働者の処遇等に関する調査結果報告」(平成17年)によると,就業継続に必要な事項として,「子育てしながらでも働き続けられる制度や職場環境」を挙げる女性労働者が51.7%と最も多いが,次に「やりがいが感じられる仕事の内容」が50.5%となっている。35歳以上の年齢層でみると「やりがいが感じられる仕事の内容」が5割強を示している(第1-3-13図)。

また,内閣府「女性のライフプランニング支援に関する調査」(平成19年)によると,両立や仕事のやりがいなどの面で比較的よい環境が整っていると感じられる職場では,子どものいる30~40歳代の女性が継続就労できている。具体的には,現在の職場では「やりがいのある仕事ができる」,「両立支援の制度が活用できる雰囲気がある」,「両立しながら働き続ける先輩がいる」,「個人的な生活時間に配慮がある」といった項目が多く挙げられている(第1-3-14図)。

仕事のやりがいは,周囲からの期待や職場での公平な待遇に深く関係しているものである。これらの調査から明らかなことは,仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)を実現することは,女性の就業を促進する上で不可欠なものではあるが,それだけでは不十分であるということである。女性が能力を発揮し,仕事にやりがいを感じながら働き続けられる職場環境を整備するためのポジティブ・アクションの取組の支援を始めとした機会均等確保対策や,仕事を離れた女性にもチャンスが与えられるような女性の再就職に向けた支援策の整備が極めて重要であるといえる。

第1-3-13図 継続就業する上で必要な事項 別ウインドウで開きます
第1-3-13図 継続就業する上で必要な事項

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第1-3-14図 職場の特徴 別ウインドウで開きます
第1-3-14図 職場の特徴

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