平成20年版男女共同参画白書

本編 > コラム 地域における女性の活躍への支援~カンボジアの事例から~

コラム

地域における女性の活躍への支援~カンボジアの事例から~


我が国のみならず,諸外国においても,女性は,地域や国を担う存在として期待されている。

ここでは,日本のODAによりカンボジアで実施されてきたプロジェクト(「ジェンダー政策立案・制度強化支援計画技術協力プロジェクト」)における事例について紹介したい。

プロジェクト自体は多岐にわたるが,今回のコラムにおいては,そのうち,コンポンチャム州のモデル事業のうち二つを紹介する。

これは,カンボジアの女性省・州女性局と経済諸官庁・州の担当局が協働して女性の課題を分析・抽出し,それを解決するための取組をコンポンチャム州をモデル州に位置付けて実施したものであるが,いずれも,経済活動における女性の役割について光を当てることにより,地域の経済的な環境が改善し,それがひいては,地域における男女共同参画の進展についても寄与している点に着目したい。

(1) 市場情報の普及による農村の活性化

カンボジアにおいては,多くの女性が農業に従事しており,農産物を仲買人に売るのは,女性である。一方,女性は適切な農産物の市場価格情報を入手できないため仲買人に買いたたかれているという実態があった。このため,女性省と商業省・商業局が協働し,課題を分析した結果,農産物の市場情報を農家に流すという実証実験を行うことになった。

本事業の結果,以前のように仲買人の言い値で売るといったことはなくなったが,そういった経済的な効果のみならず,夫と売値を話し合うことを通じ,家庭内のコミュニケーションが良好になり,これが家庭内に様々な好影響を与えるなどの効果も認められた。

(2) 技術改良によるキャッサバ粉の品質向上

キャッサバ粉の生産においては,女性が重要な役割を果たしているものの,伝統的な手法において生産されていたため品質はあまり高くなかった。

本プロジェクトにおいては,生産の実態から課題を抽出しそれを解決するための技術を改良し,その結果,市場ニーズを踏まえた質の高いキャッサバ粉を作ることができるようになった。

これらの検討においては,技術の改良が負担や便益の面で男女の一方に偏ることのないよう,また,重労働にならないなどの配慮を行うなどの結果,キャッサバ粉の品質向上だけでなく,女性が担うことの多い作業工程を改良し,その労働環境を改善できたという効果もあった。