平成19年版男女共同参画白書

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第1節 仕事と家庭の両立支援と働き方の見直し

1 仕事と家庭の両立に関する意識啓発の推進

厚生労働省では,国の基本施策である「少子化社会対策大綱」(平成16年6月閣議決定)の具体的実施計画として策定された「少子化社会対策大綱に基づく重点施策の具体的実施計画について(子ども・子育て応援プラン)」(平成16年12月少子化社会対策会議決定)を踏まえつつ,あらゆる機会をとらえ,職業生活と家庭生活の両立を図りやすくするための雇用環境の整備に関する周知啓発活動を積極的に行っている。

また,平成18年10月には,「男性が育児参加できるワーク・ライフ・バランス推進協議会」において,男性も育児参加できる働き方の必要性とその利点や,そのような働き方を可能とする取組等について企業経営者向けの提言をとりまとめたところである。

2 仕事と子育て・介護の両立のための制度の定着促進・充実

厚生労働省では,育児休業,介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)に規定されている,育児休業,介護休業,子の看護休暇制度,時間外労働の制限の制度,深夜業の制限の制度,勤務時間短縮等の措置等について周知徹底を図るとともに,同法が遵守されるよう引き続き事業主に対して,指導などを行っている。

また,育児休業等の申出や取得を理由とした不利益取扱いなどについて労働者からの相談があった場合には,的確に対応し,必要な場合には,事業主に対して適切な指導を行っている。

さらに,次世代育成支援対策推進法(平成15年法律第120号)に基づき,企業等が仕事と子育ての両立を図るために必要な雇用環境の整備等を進めるために策定・実施することとされている「一般事業主行動計画」について,企業等に対して周知・啓発を行うこと等により,働きながら,子どもを安心して産み育てられる環境づくりに向けた取組を積極的に推進している。

一般事業主行動計画については,平成19年3月末現在で,策定・届出が義務づけられている従業員301人以上の大企業のうち99.8%が届出済みとなっている。さらに,策定・届出が努力義務となっている300人以下の中小企業においては,5,736社において届出が行われている。

また,国及び地方公共団体においても,職員を雇用する「事業主」の立場から,職員の仕事と子育ての両立支援等に関する「特定事業主行動計画」を策定することとされており,平成18年10月1日現在で88.9%の国及び地方公共団体において策定されている。

3 育児や家族の介護を行う労働者が働き続けやすい環境の整備

(1)働き方の見直し

厚生労働省では,いわゆる「労働時間分布の長短二極化」の進展,長時間労働を一因とする脳・心臓疾患に係る労災認定件数の高水準での推移,労働者の抱える事情の多様化等の新たな課題に対応するために,これまでの全労働者一律の計画的な労働時間の短縮を図る法律である労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法(平成4年法律第90号)を,単に労働時間短縮を図るためだけでなく,労働時間,休日,休暇等の設定を労働者の健康と生活に配慮するとともに,多様な働き方に対応したものに改善するための法律である労働時間等の設定の改善に関する特別措置法へと改正し,平成18年4月に施行したところである。

(2)企業における仕事と子育て・介護の両立支援の取組の促進,評価

厚生労働省では,企業の「仕事と家庭の両立のしやすさ」を示す両立指標についてインターネット上でその進展度を診断できるファミリー・フレンドリー・サイトや両立支援に積極的に取り組んでいる企業の取組等を掲載したサイト「両立支援のひろば」の利用等による活用を進めるなど周知・広報を行うとともに,ファミリー・フレンドリー企業表彰(厚生労働大臣賞及び都道府県労働局長賞)の実施により,仕事と育児・介護とが両立できるような様々な制度を持ち,多様でかつ柔軟な働き方を労働者が選択できるような取組を行うファミリー・フレンドリー企業の普及促進を図っている。

また,育児や家族の介護を行う労働者が働き続けやすい雇用環境を整備する事業主に対し,助成金を支給するなどの支援を行っている。

経済産業省では,仕事と育児を両立できる職場環境の整備に先進的に取り組んでいる中小企業の事例調査及び先進事例集の作成・普及を行った。

(3)育児・介護を行う労働者に対する相談・情報提供

厚生労働省では,育児・介護等の各種サービスに関する相談に応じるとともに,地域の具体的情報を電話やインターネットにより提供している(フレーフレー・テレフォン事業及びフレーフレーネット)。