平成19年版男女共同参画白書

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第4章 雇用等の分野における男女の均等な機会と待遇の確保

第1節 雇用の分野における男女の均等な機会と待遇の確保対策の推進

1 男女雇用機会均等の更なる推進

(1)男女雇用機会均等の更なる推進

男女雇用機会均等の更なる推進を図るため,男女双方に対する差別の禁止や雇用ステージの明確化・追加とともに,間接差別の禁止など性差別禁止の範囲の拡大,妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの禁止,セクシュアル・ハラスメントに関する事業主の雇用管理上の義務の強化,女性の坑内労働に関する規制の緩和等を内容とする男女雇用機会均等法及び労働基準法の改正法が,平成18年6月に公布されたところであり,厚生労働省では,改正法の円滑な施行に向け,周知啓発を行っている。

(2)男女雇用機会均等法に基づく行政指導

厚生労働省では,女性に対する差別的な取扱いを行う企業に対して,都道府県労働局長の助言,指導,勧告により男女雇用機会均等法違反の是正を図るとともに,採用,配置,昇進等における男女労働者間の格差が大きい企業に対しては,女性の採用拡大,職域拡大,管理職の登用等に向け,積極的取組(ポジティブ・アクション)を行うよう促している。

(3)コース等で区分した雇用管理に関する留意事項の周知徹底

厚生労働省では,コース等で区分した雇用管理制度を導入している企業に対し,「コース等で区分した雇用管理についての留意事項」の周知徹底を図るとともに,留意事項に沿った制度運用を行うよう指導等を行っている。

(4)紛争解決の援助,相談体制の充実

厚生労働省では,女性であることや妊娠・出産を理由とする解雇等の女性に対する差別的取扱いに関する女性労働者と事業主との間の個別の紛争については,都道府県労働局長による助言,指導,勧告及び機会均等調停会議の調停により,紛争の円滑かつ迅速な解決を図っている。

また,これらの措置が十分活用されるよう,紛争解決援助制度について,女性労働者等に積極的に周知している。

(5)女子学生の就職問題に関する施策の推進

厚生労働省では,企業の募集・採用における女性に対する差別的取扱いに対して是正指導を行うとともに,企業の採用担当者等に対して男女雇用機会均等法に基づく男女均等な選考ルールの徹底を図るための啓発指導を実施している。

また,採用実績に男女差が大きい企業に対しては女性の採用拡大についてのポジティブ・アクションに取り組むよう促している。

2 企業における女性の能力発揮のための積極的取組(ポジティブ・アクション)の推進

厚生労働省では,男女労働者間の格差が大きい企業に対して,ポジティブ・アクションを行うよう促すほか,具体的取組方法についての相談,情報提供等を実施し,企業での取組を促進している。

また,ポジティブ・アクションの取組を一層広く普及させていくため,経営者団体と連携し,厚生労働省及び都道府県労働局ごとに企業のトップや有識者をメンバーとする女性の活躍推進協議会を開催し,企業が自ら自主的にポジティブ・アクションに取り組むことを促している。

さらに,女性労働者の能力発揮を促進するため,ポジティブ・アクションを積極的に推進している企業に対し,公募により「均等推進企業表彰」(厚生労働大臣賞及び都道府県労働局長賞)を実施しているほか,個々の企業が実情に応じた目標を立てる際に活用できるよう,同業他社と比較したその企業の女性の活躍状況や取組内容についての診断が受けられるベンチマーク事業を実施している。

3 セクシュアル・ハラスメントに関する雇用管理の改善の推進

厚生労働省では,事業主のセクシュアル・ハラスメントに関する雇用管理上の配慮を徹底するため,男女雇用機会均等法及び「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上配慮すべき事項についての指針」(平成10年労働省告示第20号)の内容について一層の周知を図るとともに,措置を講じていない事業主に対しては指導により措置の実施を求めている。

4 男女間の賃金格差の解消

厚生労働省では,平成14年11月に取りまとめた「男女間の賃金格差問題に関する研究会報告」を受け,15年4月に作成した「男女間の賃金格差解消のために賃金管理及び雇用管理改善方策に係るガイドライン」について,その周知啓発を行っている。