平成19年版男女共同参画白書

コラム > 中国における女性の社会参画

中国における女性の社会参画

――中国男女平等・女性発展状況白書(2005年)等より

中国は,社会主義国家であり,また,経済発展途上国であるため,女性の参画状況を他の資本主義諸国と単純に比較することはできない。しかし,ジェンダー・ギャップ指数でみると63位と日本(79位)より上位に位置し,列国議会同盟(IPU)発表のランキング(2007年3月現在)によれば,女性国会議員の比率も20.3%と,日本(9.4%)より高くなっている。

国連第4回世界女性会議の開催10周年にあたる2005年8月に中国国務院が発表した「中国男女平等・女性発展状況」白書によれば,中国の男女共同参画に関する法制は,憲法と女性権益保障法を基礎としており,さらに,この10年に,婚姻法など女性の権益保障に関する法規や規則が100以上公布,実施された。国は,女性発展要綱を策定し,経済社会発展総合計画の中にも女性発展を盛り込んでいる。女性が国の政策方針決定過程に参加する権利は憲法等によって保障されており,2004年末現在,1級行政区(中央省庁)クラス以上の幹部のうち女性は9.9%を占めている。

中国では,1949年の建国以来,女性の社会進出が進み,「同工同酬」の原則(女性が男性と平等に仕事をし,同じ給料を得ること)により女性も男性と平等な社会的役割と責任を担ってきたが,1980年代に市場経済化が進むにつれ,経済格差が広がり,高い経済力を身につける女性が現れる一方で,競争激化のもとで,女性が不利な状況におかれる現象も現れ始めており,中国のジェンダー統計ハンドブック「Women and Men in China - Facts and Figures」によると,都市部における失業率は,2000年現在,男性が7.6%に対し,女性が9.0%となっている。

また,上述の白書によれば,歴史的,文化的に残っている男女不平等の古い習慣が今なお完全には排除されていない。さらに,人口抑制のため一夫婦の子どもを一人に制限する「一人っ子政策」の下での男児好選の影響もあり,上述の統計ハンドブックによれば,男女の出生児比率は,1982年には女子100に対して男子108.5であったものが,2000年には,同116.9と,不均衡化が進んでいる。

中国においても,男女平等と女性の発展の全面的な実現に至るまでの課題は多い。