平成17年版男女共同参画白書

本編 > 第1部 > 第3章 仕事と子育ての両立

(極めて低い男性の育児休業取得)

男性の育児休業の取得状況は極めて低くなっている。厚生労働省「女性雇用管理基本調査」(平成15年度)によると,在職中に出産した者又は配偶者が出産した者に占める育児休業取得者の割合を男女別にみると,女性は73.1%,男性は0.44%であった。また,育児休業取得者のうちの男女別割合をみると,女性は97.1%,男性は2.9%となっている。

職場で男性が育児休業をとりやすい雰囲気があるかどうかについては,日本労働研究機構「育児や介護と仕事の両立に関する調査(企業調査)」(平成15年)によると,「どちらかといえばとりにくい」と答えた企業は52.2%と過半数を超えており,その理由は「職場が忙しい・人が足りない」が73.3%,「経営状況が厳しいため」が31.8%,「経営幹部や管理職が男性の育児休業に否定的」が26.3%となっている。

(出生前後の母親の就業変化)

出産を機に離職する女性も多い。厚生労働省「出生前後の就業変化に関する統計(人口動態統計特殊報告)」(平成15年度)によると,出生1年前に有職であった母親について,出生前後を通じて一貫して母親が有職である場合(以下「就業を継続する場合」という。)は約3割に過ぎない。また,出生1年前の母親の就業形態別に出生前後の就業変化をみると,常勤については,就業を継続する場合は約4割であったが,パート・アルバイトについては,1割にも満たない。また,出生1年半後の時点で有職の者は,常勤では約半数を占めるが,パート・アルバイトでは約3割となっており,就業形態により,出生前後における母親の就業変化に違いがみられる(第1-3-1図)。

第1-3-1図 子の出生1年前に有職だった母の,出生1年半の間の就業変化パターン別ウインドウで開きます
第1-3-1図 子の出生1年前に有職だった母の,出生1年半の間の就業変化パターン

(母親が就業している場合は父親が育児に参加する傾向)

前出「出生前後の就業変化に関する統計」により,母親の就業変化パターン別に出生1年半後の父親の育児の状況をみると,母親が就業を継続する場合,すべての育児項目で「いつもする」の割合が他のパターンに比べて多くなっており,比較的育児に参加している状況がうかがえる。一方,母親が一貫して無職の場合や出生時には無職となっている場合は,多くの項目で他のパターンに比べ「まったくしない」が多くなっている(第1-3-2図)。

第1-3-2表 母の就業変化パターン別にみた出生1年半後の父の育児の状況別ウインドウで開きます
第1-3-2表 母の就業変化パターン別にみた出生1年半後の父の育児の状況

(男性の育児期の労働時間は長く,育児参加時間は短い)

総務省「社会生活基本調査」(平成13年)によると,夫婦と6歳未満の子どものいる世帯における週全体の平均育児時間は,夫が25分,妻が3時間となっており,夫の育児参加時間は妻に比べて非常に短い。

夫の育児参加時間が短くなっている背景には,育児期の男性の労働時間が長いことがある。男女別,年齢階級別の平均週間就業時間と週60時間以上就業者の割合をみると,女性は30歳代後半から40歳代前半にかけての就業時間が短くなっている一方,男性は30歳代が最も長い。また,週60時間以上働く者の割合も,男性は30歳代が最も高く,30歳代の女性の割合を大きく上回っている(第1-3-3図)。

第1-3-3図 性・年齢階級別就業時間(非農林業)別ウインドウで開きます
第1-3-3図 性・年齢階級別就業時間(非農林業)

(育児への関わり方についての希望と現実)

厚生労働省委託調査「子育て支援策等に関する調査研究」(平成15年)によると,希望としては,父親の約半数は,仕事等と家事や育児を同等に重視したいと思っているが,現実には,仕事等と家事や育児を同等にしている人は25.9%となっている(第1-3-4図)。

第1-3-4図 父親の子育ての優先度別ウインドウで開きます
第1-3-4図 父親の子育ての優先度

また,第一子が生まれたときの働き方の変化として,父親の希望と現実の格差が大きかったのは,「収入を増やす」「労働時間を減らす」であり,「収入を増やす」は希望が56.7%,現実が19.3%,「労働時間を減らす」は希望が29.0%,現実が6.5%となっている。一方で,「労働時間を増やす」については,希望が4.2%であるのに対し,現実は12.9%となっている。子どもが生まれて働き方を変えたいと父親が希望しても,現実には働き方を変えられない状況がうかがえる。

母親については,「仕事を辞める」の希望と現実の差が顕著であり,希望が26.5%,現実が40.3%となっている。母親は,仕事を継続したいと希望しながら育児のために退職せざるを得ないという状況がうかがえる(第1-3-5図)。

第1-3-5図 第一子が生まれたときの働き方の変化別ウインドウで開きます
第1-3-5図 第一子が生まれたときの働き方の変化

このように,男女ともに,仕事と子育てを両立したいと希望している人が多い一方で,現実には両立できない人も多い。特に男性の育児期の労働時間は長く,仕事優先とならざるを得ない人も多い。男女がともに仕事と子育ての両面を大切にできるよう,働き方の見直しや様々な両立支援策を一層進めていくことが重要となっている。

(コラム:男女の仕事と家庭生活・地域活動への係わり方~理想と現実~)

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