平成17年版男女共同参画白書

本編 > 第1部 > 4 知的財産の活用,知識集約型産業

前項では既存の産業を中心に女性の職域拡大について分析した。日本の産業構造については,就業人口が第3次産業にシフトするサービス産業化が指摘されてきたが,近年の科学技術の発展は,情報通信産業やハイテク産業など知識集約的な産業の創出・拡大に重要な役割を果たしている。また,ヒトゲノムの完全解読などのライフサイエンス,ナノテクノロジーなどの最新の科学知識が製薬業を始めとした製造業など第2次産業にも影響を与えており,知識集約型産業は単に情報通信にとどまるものではないといえる。

これらの産業においては,産学官連携による研究成果の社会還元や多様な科学技術系人材の養成・確保などが更なる成長に向けた課題になっている。

さらに,サービス業の分野でも,例えば金融や経営コンサルタントといった分野においては,金融工学など高度な専門知識が企業の経営収益を左右する一つの要素となっていると考えられる。

加えて企業経営の基盤として,工場といった有形資産のみならず,特許等知的財産権,人材,組織プロセス,顧客とのつながりなど多様な知的資産の活用が課題となることや,情報通信技術の活用には人的資本が重要な要素であり,高度な知識を持つ労働者が必要となることも指摘されている。

女性就業者の受け皿も第3次産業に移ってきており,第3次産業に従事する女性就業者の割合は,近年一貫して上昇している(第1-序-8図)。サービス産業には知識集約的な産業と位置づけられる情報通信産業や,金融業も含まれるが,介護など他のサービス業に従事する女性も多いと見られる。また,知識集約型産業を支えるべき研究者には女性の進出が後れており,理工系科目への関心にも男女差が見られる。

第1-序-8図 産業別就業者構成比の推移別ウインドウで開きます
第1-序-8図 産業別就業者構成比の推移

知識集約型産業は製造業に比べ重筋労働を必要とせず,知的資産の獲得活用には男女間での体力的な制約差が更に少ないと考えられる。女性が活躍できる風土をもつ企業は利益率が高いとの調査例がある(経済産業省男女共同参画研究会報告「女性の活躍と企業業績」(平成15年6月))が,能力のある女性人材が企業経営の基盤である知的資産の一つとして位置づけられ,ひいては日本経済活性化の重要な担い手となると期待できる。

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