平成17年版男女共同参画白書

本編 > 第1部 > 3 職場の機械化・情報化と女性の職域拡大

科学技術が職場環境にもたらした変化として,工場やオフィスでの機械化,自動化が進んでいることが挙げられる。工場では,昭和40年代以降の工作機械の発達や産業用ロボットの導入により,肉体的に負担の大きい作業が減少して安全性が高まり,女性が進出することが容易となった。オフィスでの事務作業についても,定型的な作業については情報通信機器の導入などにより自動的に処理できる範囲が増加し,省力化が進んだ。

また,オフィスでの労働だけではなく,例えば,トラック運転手については,ハンドル操作が難しく,従来は体力的に女性が就くことが困難な職種とされてきたが,パワーステアリングの普及により,車庫入れや低速走行時においても大型車を簡単に操舵できるようになった。

これらは女性の様々な分野への進出に影響を与え,女性の職域拡大や労働力率の上昇にも貢献している。

近年では,情報通信技術(ICT)化が急速に進展している。パソコン,携帯電話,インターネット,ユビキタス技術などが急速に普及するなど,職場や家庭での情報化が進み,ライフスタイルに大きな影響を与えている。例えば新しい働き方としてのテレワーク,SOHO(スモール・オフィス,ホーム・オフィス)が普及しつつあるとともに,育児や介護サービスを利用する場合なども,携帯電話端末などの画面を通じて状況を職場,外出先等からきめ細かく確認できるなど,情報通信機器は仕事と生活の両立支援のツールとしても活用され始めている。その一方で,ストレス,VDT(視覚表示装置)作業時における眼を中心とした悪影響など,健康面での問題も生じている。

また,職場や家庭における情報化の急速な進展は,情報通信へのアクセスの簡便化と情報共有の即時性をもたらし,企業組織をフラット化させ,女性の職域拡大や意思決定への参画を更に容易にする側面がある。その反面,情報通信機器の利用率には男女差がなお残っており,情報通信機器に対応できない個人や企業の情報力格差(デジタル・デバイド)をもたらす可能性がある。また,多くの女性がSOHOや在宅ワークに従事しているが,コンピュータ等への情報入力といった単純作業に従事する者への報酬は低く,契約も不安定であり,作業発注者に比べて不利な立場に置かれていると指摘されている。

このため,ICTの教育・トレーニングにおいて,性別による障壁を除去し,女性のためにICT関連分野におけるトレーニングの機会均等の促進に取り組むべきこと,ICTを女性のエンパワーメント及び男女平等の促進のための中心的なツールとすべく,ICTに対する女性のアクセスと参加を拡大するための取組が必要であることが提言されている。

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