平成17年版男女共同参画白書

本編 > 第1部 > 1 家電製品及びその他の技術成果の普及と家事負担の軽減

男女が育児を含めた家事に費やす時間には大きな差が生じている。男性が外で働き,女性が家庭を守るべきという意識が依然根強いことから,これは,いわゆる固定的性別役割分担から生じている差であると見られる(第1-序-1図)。

第1-序-1図 家事時間の時系列変化(男女別,全員平均時間)別ウインドウで開きます
第1-序-1図 家事時間の時系列変化(男女別,全員平均時間)

主に家事を行ってきた女性の家事時間は昭和35年から40年にかけて減少している。その要因としては,この時期,電気冷蔵庫,電気洗濯機,電気掃除機などの普及率が非常に高くなり(第1-序-2図),それまで専ら人手によって賄われてきた家事を機械が代行するようになったことがあると考えられる。45年以後をみても,女性の家事時間は減少傾向にあり,これは,新たに普及した電子レンジや冷凍冷蔵庫なども含めた家電製品の普及の他,外食産業の発達や,インスタント食品,冷凍食品の普及などの影響が考えられる。

第1-序-2図 主要耐久消費財普及率の推移別ウインドウで開きます
第1-序-2図 主要耐久消費財普及率の推移

これらの製品やサービスの開発には,科学技術の発展が大きく寄与しており,暮らしと働き方に大きく影響を及ぼしているといえる。すなわち,これらの技術の発展が,女性の家事時間を減少させ,女性の社会進出に貢献したと考えられる。

近年の情報通信技術の発達によって近い将来にはユビキタスネットワーク社会(いつでも,どこでも,誰でもネットワークにアクセスしてサービスを利用できる社会)が実現すると考えられ,家事・育児にも更なる影響を与えると考えられる(コラム「未来の家電,ユビキタス」参照)。

(コラム:未来の家電,ユビキタス)


一方,男性の平日の家事時間には余り大きな増加の傾向は見られず(第1-序-3図),家事・育児に男性がかかわる時間は依然として少ない。休日においても,男性が担う家事内容は買い物などが多く,掃除,炊事,洗濯や子どもの世話にかける時間は少ない(第1-序-4図)。

第1-序-3図 男性の家事時間の時系列変化(3曜日,全員平均時間)別ウインドウで開きます
第1-序-3図 男性の家事時間の時系列変化(3曜日,全員平均時間)

第1-序-4図 男性の家事の内容別時間量の推移(日曜,全員平均時間)別ウインドウで開きます
第1-序-4図 男性の家事の内容別時間量の推移(日曜,全員平均時間)

このように,これまでの科学技術の発展は,固定的性別役割分担を維持した社会構造の中で,家事・育児を行う女性の負担を軽減することには貢献したといえる。さらに,科学技術の発展は家電製品にとどまらない広がりをみせている。核家族化の進行による家事の担い手の減少や女性の社会進出を受けて,家事負担を軽減する製品の開発が促進され,それが新たな技術の進歩をもたらしたという面もあると考えられる。その意味では,ライフスタイルと家電製品やその他技術成果の普及が相互に影響しあう相互依存の関係があったといえよう。

また,科学技術の発展は紙おむつ,粉ミルクやベビーフードの開発を生んだが,NHK放送文化研究所「国民生活時間調査」では子どもがまだ小さいと考えられる30歳代女性の平日の平均家事・育児時間は平成12年で5時間37分で,女性全体の平均家事・育児時間3時間49分を大きく上回っている。また,育児を行う女性が費やす平均育児時間はむしろ増加傾向にある(第1-序-5図)。

(コラム:主な技術進歩の例)

第1-序-5図 内容別にみた女性の家事の時系列変化(平日,行為者率と行為者平均時間)別ウインドウで開きます
第1-序-5図 内容別にみた女性の家事の時系列変化(平日,行為者率と行為者平均時間)

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