平成17年版男女共同参画白書

コラム > 自然科学系の学協会による研究者・技術者の実態調査

平成14年10月に発足した男女共同参画学協会連絡会は,自然科学系の39学協会の会員を対象に約2万件の回答を得て分析したアンケート調査結果を基に,「21世紀の多様化する科学技術研究者の理想像-男女共同参画のために-」を取りまとめ,平成16年3月に公表した。

本調査報告では,男女の処遇差に関する研究者・技術者の意識,所属機関ごとの年齢による職位の推移,研究開発費の額及び部下の数,研究者の子育て状況などについて取りまとめている。

職位の推移については,いずれの所属機関でも,すべての年齢層で有意な男女格差が存在することを指摘している。企業では,30歳代で2年程度,40歳代で3,4年の昇進の後れが見られ,大学等では,40歳代で5年以上の昇進の後れが生じている。平均値で見ると,女性は30歳代後半で講師に,40歳代半ばで助教授に昇進した後は,60歳まで教授に昇進することが難しい現状が示されている。

研究者等が年間に使用する研究開発費の平均額については,男女の差があり,所属機関別・年齢層別の特徴があることを示している。所属機関別に平均的な年齢による推移を見ると,企業においては,年齢とともに平均年額が伸び,男性では45歳から49歳までで最大になり,女性ではそのほぼ5年後れの50歳から54歳までで最大になるが,約100万円の差がある。大学等では,男性では50歳から54歳までで最大に達するのに比し,女性では60歳以上になっても男性の平均最大額の半分を超える程度である。公立研究機関では,若い年齢時から大きな差がつき,女性では40歳以上になっても,その額は男性の30歳から34歳までの平均年額を1,000万円ほど下回ると報告されている。

研究開発プロジェクトを進める際にはチームを構成することも多く,研究者等が指導する者の数(以下「部下数」という。)により,その研究者・技術者が従事している研究開発の規模を知ることができる。

企業では,男女とも平均部下数は年齢とともに伸び,男性では55歳から59歳までで最大の13人となる。日本の企業の多くは終身雇用を採用しているためと考えられ,女性もほぼ同様であるが,その数は男性に比較すると少なく,9人程度である。大学等においても,男性の平均部下数はその年齢とともに増加し,50歳から59歳までで最大の7人になる一方,女性では,年齢が上がってもほとんど増加せず,3,4人にとどまっている。公立研究機関における差は,50歳以上から大きくなり,同年齢層の比較で5人から8人までの幅で男女差が見られることが指摘されている。女性は部下を指導する機会が得られにくい,あるいは,小規模のチームで研究開発を行っている様子がうかがえる。

本調査によると,科学技術分野において男女の処遇差があると考える研究者・技術者は,アンケートに回答した男性で半数,女性で4分の3を占め,採用,管理職への登用,昇進・昇給に差があると考えている割合が高い。

また,男女共同参画の推進のために必要なこととして,仕事と家庭の両立に必要な休業を取得しやすい環境づくりなどが提言されている。

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