平成16年版男女共同参画白書

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第1節 男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し

1 家族に関する法制の整備

法務省では,婚姻及び離婚制度について,男女平等などの見地から,平成8年2月の法制審議会答申(「民法の一部を改正する法律案要綱」)を踏まえ,検討を行った。また,同答申及びそのうちの選択的夫婦別氏制度の概要について,ホームページへの掲載を通じ,広く国民にその内容を公開している。

2 個人のライフスタイルの選択に中立的な社会制度の検討

(1)影響調査専門調査会の報告

男女共同参画会議影響調査専門調査会が平成14年12月に取りまとめた「ライフスタイルの選択と税制・社会保障制度・雇用システム」に関する報告では,諸制度・慣行の中には,現在のライフスタイルに適合しないものや,女性の就業の妨げや男性のライフスタイルの選択を狭めているものがあるため,個人のライフスタイル選択にできる限り中立性を確保する必要があるとし,生涯の各段階ごとに現状を精査し,男女間賃金格差や子育てを終えた後の再就業問題,中高年女性の非正規雇用の多さなどを指摘した。その上,制度・慣行を必要に応じ個人単位に見直すことなどを基本的な考え方とし,各制度の改革の具体的方向として,公的年金に関しては,所得分割の検討,遺族年金の中立性の確保,短時間労働者への厚生年金の適用拡大について検討すること,税制に関しては,配偶者控除・配偶者特別控除について,国民の負担に与える影響を調整するようよう配慮しつつ,縮小・廃止すべきこと,雇用システムに関しては,企業の家族手当を,企業側が一方的に内容を決めて提供するのでなく,雇用される労働者側の選択を拡大する形に切り替えること,などの提案を行った。影響調査専門調査会においては,引き続き,より雇用・就業に力点をおいて検討を行い,「ライフスタイルの選択と雇用・就業に関する制度・慣行」についての論点整理を取りまとめた。

(2)配偶者特別控除の改正

平成15年度税制改正において,現状では共働き世帯数が専業主婦世帯数を上回るようになっていること,女性の就業に関する選択等に中立的でないといった指摘もあること等を踏まえ,配偶者特別控除のうち配偶者控除に上乗せして適用される部分について廃止された(第2-3-1図)。

第2-3-1図 所得税の配偶者控除・配偶者特別控除制度の仕組み(配偶者が給与所得者の場合)別ウインドウで開きます
第2-3-1図 所得税の配偶者控除・配偶者特別控除制度の仕組み(配偶者が給与所得者の場合)

(なお,この改正は,平成16年分以後の所得税及び17年度分以後の個人住民税について適用される。)

(3)個人住民税の均等割の見直し

これまで,個人住民税の均等割については,生計同一の妻に対しては非課税措置が講じられ,地方税法に明記されていた。影響調査専門調査会では,平成14年12月報告で,「規定に明示的な男女差が存在する」と指摘したが,16年度税制改正において,税負担の公平の観点から,生計同一の妻に対する非課税措置を17年度から段階的に廃止し,所得金額が一定金額を超える者に課税することになった。

影響調査専門調査会では,この見直しにおいて留意すべき点を平成15年12月に審議し,16年1月に男女共同参画会議に報告した。

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