平成16年版男女共同参画白書

本編 > 第1部 > 第4章 高齢男女の暮らし

(進む高齢化)

日本では,諸外国に例をみないスピードで高齢化が進行している。高齢化率は,昭和25年の4.9%から,50年には7.9%,平成15年には19.0%と急速に上昇を続けている。

人口の高齢化の主な要因は,平均寿命の伸長,少子化による人口の増加率の低下である。平均寿命は女性で85.23年,男性では78.32年(平成14年)にまで伸びており,男女とも世界で最も高い水準にあるが,男女差は少しずつ広がっている。高齢者に占める女性の割合は高く,65歳以上では60%弱,85歳以上では70%を上回っている。

(低下する子との同居世帯割合)

高齢者の家族形態別構成割合の推移をみると,全体として「ひとり暮らし」,「夫婦のみ」の割合が一貫して上昇している。特に女性では,「ひとり暮らし」など配偶者がいない場合が50.9%と男性の14.3%と比較して非常に高くなっている。また,配偶者の有無にかかわらず,「子供夫婦と同居」は平成14年には女性で30.2%,男性で20.7%と昭和62年の割合に比較して半減近くの減少となっている(第1-4-1図)。

第1-4-1図 性・家族形態別にみた65歳以上の高齢者の割合別ウインドウで開きます
第1-4-1図 性・家族形態別にみた65歳以上の高齢者の割合

こうした状況を,内閣府「国民生活に関する世論調査」(平成15年)で意識面からみると,老後の暮らし方として,70歳以上の高齢者で子ども夫婦と同居したいとする割合が男性,女性とも50%程度あり,実際の割合とは大きく乖離している。

また,現在340万世帯となっている単独世帯は国立社会保障・人口問題研究所の推計によると,今後も増加を続け,2025年(平成27年)には680万世帯に達すると推計されている。

(介護の負担)

介護の問題は,高齢化の問題と切り離すことができない。介護保険法に基づき要支援又は要介護と認定された65歳以上の者(以下「要介護者等」という)は,約321万人であり,65歳以上人口の約14%に相当する。年齢別にみると,前期高齢者(65~74歳)では要介護者等は5%未満であるが,年齢が高くなるほど要介護者等の割合が上昇し,80~84歳で26.5%,90歳以上では62.8%と大幅に上昇する。また,要介護者等の70%以上は女性である(第1-4-2図)。

第1-4-2図 年齢階級別の要支援・要介護認定者数別ウインドウで開きます
第1-4-2図 年齢階級別の要支援・要介護認定者数

一方,女性にとって介護する側としても,介護は切実な問題である。厚生労働省「国民生活基礎調査」(平成13年)によると,主な介護者の要介護者等との関係では,同居している家族等介護者が71.1%,別居している家族等介護者が7.5%,事業者は9.3%となっている。在宅の介護者の要介護者等との続柄をみると,男性の要介護者等では,女性の介護者が91.9%とほとんどであり,そのうち,配偶者が67.6%を占めている。女性の要介護者等でも,女性の介護者が67.3%となっており,そのうち,子の配偶者が39.9%,子が23.7%となっている。全体として介護者の76.4%が女性である。主な介護者と要介護者等の組合せを年齢階級別にみると,「65~69歳」の要介護者では,「60~69歳」の者が,「70~79歳」の要介護者では「70~79歳」の者が,「80~89歳」の要介護者では「50~59歳」の者が主に介護している割合が高くなっている。

(高齢者の社会参加)

介護の問題は非常に大きな問題ではあるが,比較的元気な高齢者も多く,厚生労働省「国民生活基礎調査」(平成13年)によると,日常生活に影響があるとする高齢者(65歳以上)は女性の25.1%,男性の21.8%にすぎない。

このため,高齢者,特に前期高齢者は単に支えられる側に位置づけるのではなく,社会を支える重要な一員として,その役割を積極的にとらえる必要がある。

町内会の地域活動などを通じて社会の役に立ちたいと思っている者の割合を年齢別にみると,男女ともほぼ年齢が高くなるにつれて増加しており,高齢者の社会参加に対する意欲は高くなっている(第1-4-3図)。

第1-4-3図 地域活動において,社会の役に立ちたいと思っている者の割合別ウインドウで開きます
第1-4-3図 地域活動において,社会の役に立ちたいと思っている者の割合

また,総務省「社会生活基本調査」(平成13年)によると,65~69歳の者で,過去1年間に何らかの「学習・研究」を行った者の割合は男女とも2割を超えている。学習・研究の種類別にみると,男性は「商業実務・ビジネス関係」,女性は「家政・家事」が高くなっており,長年携わってきたことを更に学びたいという傾向がうかがえる。

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