平成16年版男女共同参画白書

コラム > 家電製品などの普及で進む家事時間の短縮

家電製品などの普及は,家事の省力化に大きく影響してきた。特に電気洗濯機・電気冷蔵庫の登場は,昭和30年代から40年代前半にかけ,家事時間を非常に短くする効果をもたらした。電気洗濯機は,32年には都市部でさえ20.2%の普及率であったものが,約10年後の45年には農村部まで含め91.4%の普及率となった。電気冷蔵庫は32年に2.8%であったものが,同じく45年には89.1%となっている。この急激な普及をみれば,その当時の家事内容が家電製品の登場により,いかに急激に変化したかを想像できる。 

ここ20年をみても女性の家事時間は減少傾向にあり,その背景には,多くの家庭の洗濯機が2層式から全自動洗濯機にかわったこと,電子レンジの普及に伴い,冷凍食品が多く利用できるようになったことなどもあると考えられる(第1-序-28図)。

第1-序-28図 女性の家事時間(総平均時間)の推移別ウインドウで開きます
第1-序-28図 女性の家事時間(総平均時間)の推移

その後も家事の省力化につながる製品が次々に発売されているが,その中でも著しく販売量を伸ばしているものに無洗米と自動食器洗い機がある。

無洗米は,平成5年に登場して以来,認知度の高まりとともにその販売量も増加している。全販売量に関する統計はないが,NPO法人全国無洗米協会の推計では,5年に5,000tだった生産量が14年には50万5,000tとなっており,同協会の調査によれば,15年7月現在,無洗米の認知率は98%に達している。

自動食器洗い機は,昭和35年に国産機が初めて発売されたが,当時は機械が一般家庭に設置するには大きすぎるということなどから敬遠されていた。しかし,近年の小型化・低コスト化に伴い,爆発的と言ってもよい販売台数の伸びを示している。経済産業省「生産動態統計」によれば,平成11年に30.5万台であった販売台数は15年には95.9万台に増加し,5年間で3倍以上の販売台数となっている。ここ数年,急激に普及しつつある液晶テレビの15年販売台数が189万台であることと比較すれば,この台数がかなりのものであることがわかる。

無洗米と自動食器洗い機,この2つの製品に共通するのは,「便利」とは別に「環境などへのプラス効果」がある点である。どちらも使用することにより家事の省力化を図ることができる上,無洗米は「米のとぎ汁が出ないため河川を汚さず環境に良い」,自動食器洗い機は「節水に有効」といったプラス効果がある。現在では,河川の汚濁防止の観点から無洗米を推奨する野外キャンプ場などが増えているほか,節水効果への期待から自動食器洗い機購入に補助金を支給する自治体もある。

このプラス効果が,一般にはこのような製品が「主婦の手抜き」といったマイナスイメージを持たれがちな中で順調に販売を伸ばしている要因の一つと思われる。家事の外部化も含め,そのサービスや製品が一般に受け入れられるか否かは,家事は自分の手で行うものという意識を弱められるだけの「合理的理由」があるかどうかにかかっているということが分かる一例と言えよう(第1-序-29図)。

第1-序-29図 無洗米生産量と自動食器洗い機販売台数の推移別ウインドウで開きます
第1-序-29図 無洗米生産量と自動食器洗い機販売台数の推移

内閣府男女共同参画局 Gender Equality Bureau Cabinet Office〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
電話番号 03-5253-2111(大代表)
法人番号:2000012010019