平成15年版男女共同参画白書

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第4節 家庭生活における男女の共同参画

1 家族をめぐる状況

(出生率の低下)

小世帯化をもたらす要因の一つである合計特殊出生率の推移をみると,アメリカでは直近で2.13となっており,1990年代から2以上を維持している。これに対しスウェーデンでは1990年前後に2を回復したが,その後再び減少に転じ,2000年には1.54となっている。イギリス,韓国も低下傾向にある。日本はドイツと同水準の1.3台で,最も低い水準にあるが,ドイツが下げ止まっているのに対し,日本は依然として低下傾向が続いている(第19表)。

第19表 合計特殊出生率の推移別ウインドウで開きます
第19表 合計特殊出生率の推移

(夫婦関係をめぐる考え方)

「夫は外で働き,妻は家庭を守るべきである」という考え方については,日本は欧米諸国に比較して,賛成とする割合が依然として高い(第20図)。

第20図 固定的性別役割分担意識(夫は外で働き,妻は家庭を守るべきである)別ウインドウで開きます
第20図 固定的性別役割分担意識(夫は外で働き,妻は家庭を守るべきである)

これを性別にみると,女性が36.8%,男性が46.6%と男性の方が高く,年齢別にみると20代,30代よりも40代,50代の方で賛成割合が高い。また,1982年の同調査と比較すると,賛成する割合は低下している。日本では,若年層を中心に固定的性別役割分担意識はやや希薄化してきているものの,欧米諸国と比較するとその意識は強く残っているといえる。


(家事労働の役割分担)

育児期にある夫の育児及び家事時間(以下,「家事関連時間という。」)についてみると,日本は2001年において0.8時間で,スウェーデンの1991年における3.7時間,ドイツの1992年における3.5時間と比較して短い(第21図)。

第21図 育児期にある夫婦の育児,家事及び仕事時間の各国比較別ウインドウで開きます
第21図 育児期にある夫婦の育児,家事及び仕事時間の各国比較

2001年の日本の育児期にある夫の家事関連時間は1996年の0.6時間から0.2時間増加したが,育児期にある有業者の妻の家事関連時間は1996年の5.4時間から2001年の5.6時間と0.2時間増加しており,男女間の差は4.8時間と依然として大きい。

個別具体的な役割分担の実施状況をみると,食事の支度については,日本では妻が89.7%,夫が1.4%,家族全員が6.0%であるのに対し,スウェーデンではそれぞれ49.5%,14.8%,34.2%,イギリスではそれぞれ52.6%,14.6%,29.9%となっている。日本では妻に偏りがあるのに対して,欧米諸国では比較的家族全員で行う割合が高い(第22図)。

第22図 家事分担の状況(食事の支度)(男女計)別ウインドウで開きます
第22図 家事分担の状況(食事の支度)(男女計)

(家計における役割分担)

家計費管理における最終的な決定者について,日本では妻が69.5%,夫が13.9%,夫婦が14.2%であるのに対し,スウェーデンではそれぞれ25.0%,9.9%,56.5%,ドイツではそれぞれ20.6%,11.4%,64.9%となっている。日本では妻が決める割合が高いのに対して,スウェーデン,ドイツでは夫婦で決める割合が高い(第23図)。

第23図 家計費管理における最終決定者(男女計)別ウインドウで開きます
第23図 家計費管理における最終決定者(男女計)

土地・家屋の購入における最終的な決定者についてみると,日本では妻が6.5%,夫が46.9%,夫婦が35.7%であるのに対し,スウェーデンではそれぞれ2.9%,10.1%,68.5%,ドイツではそれぞれ2.3%,11.4%,74.7%となっている。日本では家計費管理の場合とは対照的に夫が決める割合が高いのに対し,スウェーデン,ドイツでは夫の決める割合が低下し,夫婦の決める割合が更に高くなる(第24図)。

第24図 土地・家屋の購入における全体的な実権(男女計)別ウインドウで開きます
第24図 土地・家屋の購入における全体的な実権(男女計)

このように,日本では金額の大きな選択ほど夫が決定する割合が高くなっているのに対し,スウェーデン,ドイツでは夫婦で決定する割合が高くなっている。

2 子育てをめぐる状況

(子育てに関する意識)

「社会意識に関する世論調査」(平成14年12月)における,「自分にとって子育ての辛さとはどんなことだと思うか」という問いに対しては,経済的な理由で子育ての負担を感じている者が最も多く,また「自分が思ったように働けないこと」と答えた者が女性で27.0%,男性で8.9%,「子育ての大変さを配偶者など周りの人に分かってもらえないこと」と答えた者が,女性で17.2%,男性で4.4%と男女間で認識の差がある(第25図)。

第25図 子育ての辛さ(複数回答)別ウインドウで開きます
第25図 子育ての辛さ(複数回答)

(子育てに対する社会的支援の状況)

日本においては,固定的性別役割分担意識もあって働き方の柔軟化が進んでおらず,育児休業制度は比較的充実しているものの男性の取得率が極めて低い状況にある。

保育の状況をみると,日本では2002年4月時点で待機児童数は2万5千人に上り,3歳未満児童数に対する保育所入所児童数の割合は16%と,待機児童をほぼ解消したスウェーデンの41%と比べて低い。児童手当支給額についても,日本では第1子,第2子はそれぞれ5千円,第3子以降は1万円と諸外国と比較して低い(第26表)。

第26表 各国における保育の状況別ウインドウで開きます
第26表 各国における保育の状況

このように,日本における子育てに対する社会的支援は必ずしも十分とはいえない状況にある。今後,働く女性が仕事と子育ての両立を可能とするための環境整備を進めていくことが必要である。

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