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第1部 男女共同参画社会の形成の状況

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第3節 労働分野における女性の参画

1 各国の女性の年齢階級別労働力率

(諸外国の女性の労働力率)

諸外国の女性の1980年代からの年齢別労働力率の推移をみると,スウェーデンを除き,全体として労働力率は上昇している。年齢階級別に各国女性の労働力率の変化をみると,アメリカ,スウェーデン,フィリピンについては,1980年代には既に逆U字カーブを示している。イギリス及びドイツについては,1991,92年ではM字カーブを示していたが,2001年には完全にM字カーブの底が消滅して逆U字カーブを形成している。このように,欧米諸国において逆U字カーブを示している要因としては,仕事と子育ての両立支援策の充実等女性が働きやすい環境条件の整備,一般的にフルタイム労働とパートタイム労働の転換が可能であることや,女性の高学歴化の進展等が考えられる。なお,韓国は日本と同様,依然はっきりとしたM字カーブを示すが,1992年時点で25~29歳層であったM字カーブの底が,2001年には30~34歳層へとシフトしている(第10図)。

第10図 各国年齢階級別女性労働力率別ウインドウで開きます
第10図 各国年齢階級別女性労働力率

2 労働分野における女性の地位

(日本の男女間賃金格差)

男女間賃金格差は諸外国でも共通にみられる問題ではあるが,日本の格差は諸外国と比較しても大きい(第11図)。男女間賃金格差を生成させている要因のうち,「職階」と「勤続年数」が最も大きな影響を与えている。

第11図 男女間賃金格差別ウインドウで開きます
第11図 男女間賃金格差

(各国の管理的職業従事者への登用状況)

日本の労働分野においては女性が管理的職業従事者に占める割合が低くなっている。就業者の約4割を女性が占めているが,管理的職業従事者に占める女性の割合は欧米諸国と比べても極端に低く,女性の就業者割合と管理的職業従事者割合の差についても,韓国を除く諸外国と比較して目立って大きい(第12図)。

第12図 女性の就業者割合と管理的職業従事者割合別ウインドウで開きます
第12図 女性の就業者割合と管理的職業従事者割合

次に,各国の就業率及び管理的職業従事者割合の1982年からの変化をみると,各国とも女性就業率の変化はそれほど大きくないが,女性の管理的職業従事者割合はアメリカ,フィリピン,スウェーデンでは増加幅が大きく,特にアメリカの増加幅が目立って大きい。これに対し,日本はほとんど変化がない(第13図)。

第13図 女性の就業者割合と管理的職業従事者割合の推移(1980~2000年)別ウインドウで開きます
第13図 女性の就業者割合と管理的職業従事者割合の推移(1980~2000年)

女性の登用が進まないことは,日本の男女間賃金格差の違いにも影響している。

女性の就業者割合と管理的職業従事者割合がほぼ同率にまで達しているアメリカでは,1960年代から,人種別・性別等の構成の不均衡を是正するためにマイノリティーや女性のための積極的改善措置を求めるアファーマティブ・アクション施策が実施されてきた。1967年の大統領命令11375号により,連邦政府と年間1万ドル以上の契約締結を行う企業に対するアファーマティブ・アクション実施の義務について,女性が適用対象として付加された。裁判所も,適切なアファーマティブ・アクションを命ずる権限を付与されている。中小企業法でも,政府調達分野において,マイノリティーや女性の経営する中小企業に対する優遇措置が規定されている。1991年には,グラス・シーリング委員会を立ち上げ,民間企業及び政府に対して,マイノリティーや女性の管理的職業従事者への積極的登用等今後の政策の方向性を提言している。このような背景の中,アメリカの女性もキャリア志向を高めていった。現在,ロー・スクール卒業生の約44%,全米上位10校のビジネス・スクールの経営修士課程への入学者の約29%が女性であり,フォーチュン500企業の約82%に女性の執行役員が存在し,人数では,12.5%を女性が占めるに至っている。

女性の管理的職業従事者割合が過半数を占めるフィリピンでは,貧富格差による社会の階層分化が顕著であり,上・中級層の女性は,家庭内において家事・育児を補助してくれる家事使用人を雇用できる環境にある。これがフィリピン独特の男女平等の基層文化とあいまって,女性の社会進出を容易にし,政治,行政,民間企業等での女性の登用を促した。

(勤続年数)

勤続年数は,各国別にみると,日本の男性の勤続年数は突出して長く,また,男女差が大きい(第14図)。

第14図 勤続年数別ウインドウで開きます
第14図 勤続年数

3 仕事と育児の両立の観点からのパートタイム労働

女性の労働力率が逆U字カーブを示す国では,育児期のパートタイム労働への転換等労働時間についての柔軟な雇用管理システムや育児支援策等が,育児期の就業継続を可能にしている。


(育児期のフルタイム労働とパートタイム労働の転換)

育児期の女性の労働市場への参画を促している要因として,パートタイム労働に係る雇用慣行等が挙げられる。

各国の就業形態をみると,女性のパートタイム労働者の割合は韓国を除き各国とも高い。

女性の年齢階級別労働力率が逆U字カーブを示す国においては,育児期にパートタイム労働に従事する女性が,アメリカでは6歳以下の子供を持つ母親の18.8%とそれほど高くないものの,イギリス65%(末子年齢5歳未満),スウェーデン54%(子2人 末子年齢1~2歳)と高い割合を示す。この場合,正社員として働いていた職場を退職するのではなく,正社員の身分のまま,フルタイム労働からパートタイム労働に転換し,仕事を継続することとなる。このシステムが,育児期の女性が仕事を辞めずに継続就業していくことを容易にしていると考えられる。


(正社員とパートタイム労働者との処遇格差)

日本では,正社員とパートタイム労働者との処遇格差が大きい。日本のパートタイム労働者は単に労働コストの安い労働者として雇用される傾向にあるため,同じ仕事内容である場合も正社員との賃金格差が大きく正社員を100とした場合,パートタイム労働者の時間当たり賃金は66.4である。これに対し,スウェーデンでは92.3,ドイツでは87.5,イギリスでは74.5であり,格差は日本より小さい(第15図)。

第15図 フルタイム労働者に対するパートタイム労働者の賃金水準(女性)別ウインドウで開きます
第15図 フルタイム労働者に対するパートタイム労働者の賃金水準(女性)

(各国のパートタイム労働に係る制度と慣行)

スウェーデン,ドイツ,イギリス等ヨーロッパ諸国では,EU労働指令の影響を受け,男女機会均等,家庭生活と職業生活の調和を目指す法令や制度の整備が進んでいる。EU労働協約の中では,パートタイム労働者の均等待遇,不利益取扱の禁止のほか,フルタイム労働とパートタイム労働の相互転換が,職業生活と家庭生活の両立という観点から規定されている(第16表)。

第16表 パートタイム労働等に関する制度各国比較別ウインドウで開きます
第16表 パートタイム労働等に関する制度各国比較

これに対し,アメリカでは,正社員のフルタイム労働とパートタイム労働の転換についての法制度は特に存在しない。

しかし,企業内制度レベルでは,育児等家族的責任のためにフルタイム労働からパートタイム労働へ転換する制度を持つ企業が約6割ある他,時間休の取得,定期的始業終業時間の変更等を認めるなど,柔軟な就業形態に対応している企業が多い。

日本の場合は,正社員の身分を維持したままでのフルタイム労働とパートタイム労働の相互転換はほとんど行われていない。多くの女性は,出産・育児のために退職し,育児負担が軽くなった時点で再就職をする就業パターンを選択するが,30歳代以降に再就職する際には,そのほとんどが補助的パートタイム労働者としてしか労働市場に戻れず,子育て後,再び意欲と能力を十分にいかして活躍できる道が得難い。

4 各国の育児休業制度等の現状

(各国の育児休業制度)

育児休業制度については,女性労働力率が逆U字カーブを示す国々においても,仕事と子育ての両立支援策の在り方は様々であり,スウェーデン及びドイツでは手厚い両立支援制度が導入されているが,アメリカ及びイギリスの制度は,日本の育児休業制度に比較しても手厚いものではない(第17表)。

第17表 育児休業制度等各国比較別ウインドウで開きます
第17表 育児休業制度等各国比較

ドイツでは,1986年の「育児手当及び育児休業の付与に関する法律」が制定されたが,2001年に,父親の取得の促進を目的として,育児休業は親時間という制度に改められた。親時間は子が3歳になるまで取得が可能であり,両親の同時取得も可能である。また,親時間中は週30時間までパートタイム労働が許される。両親が同時取得している場合は,合計で週60時間までの労働が可能である。

スウェーデンでは,1974年に「親休暇法」が定められた。休暇日数は1974年に180日であったが,その後改正を重ねて長期化していった。現在は,子が8歳になるか基礎学校の第1学年を終了するまでに,合計480日間を取得できることになっている。所得保障は,親保険により390日までは80%,残りの90日については定額支給となる。また,この休暇のうち少なくとも60日間は父親が取得するためのもので,母親に譲渡することはできない。

アメリカでは,育児休業に特化された休業はなく,1993年に制定された「家族及び医療休暇法」を利用して休業することになる。同法に定める休暇取得事由は,q子または養子の育児,w家族の介護,e本人の療養である。休業期間は,これらの事由について合計で12週間と短く,所得保障もない。育児のための休業期間は,子の誕生又は養子受入れの時点から12ヶ月以内である。但し,この休暇期間は,時間短縮,時間単位でも取得可能であり,必ずしも継続した休暇である必要もないなど,柔軟な方法で取得できる。また,休暇終了後は元の職場・地位への復帰又は同等な条件の職に復帰する権利が認められるほか,取得要件さえ満たせば,パートタイム労働者であっても,同法の休暇を取得することができる。

イギリスでは,従来から,育児休業,家族休業,子の出生に立ち会うための父親休暇等が,労使協約という形で企業に任意に導入されていた。また,比較的長期間取得できる出産休暇制度(対象は女性のみ)があった。1999年に「雇用関係法」の規定である「育児休業に関する規則」として法律上の育児休業制度が導入されたが,休業期間は,子が5歳に達するまでに13週間,1年に最大4週間しか保障されていない。休業期間中の所得保障制度もない。

日本では,子が1歳に達するまでの育児休業が法的に保障されている。また,子が3歳に達するまでの勤務時間の短縮等の措置を講じなければならない旨,使用者に義務付けられている。休業期間中の所得は雇用保険により40%保障される。しかし,予め労使協定に定めがあれば,休業を申し出た労働者の配偶者が産前・産後でないなど常態として子を養育できる場合は,使用者は必ずしも休業を取らせる必要はない。


(男性の育児休業取得率)

各国の男女の育児休業の取得割合をみると,日本の女性の取得率は56.4%,アメリカは16.0%,イギリスは約12%,スウェーデンでは基本的に完全取得されている。一方,日本の男性の取得率は0.42%,取得者中の男性比は2.4%でしかない。各国における男性の取得割合は,ドイツでは2.4%で高くはないが,イギリスは約12%,アメリカは13.9%となっている。また,スウェーデンでは,育児休業取得者の約36%が男性であり,男性の割合が高く,男性も育児に参加する者が多い状況にある(第18表)。

第18表 育児休業の取得状況別ウインドウで開きます
第18表 育児休業の取得状況

スウェーデンにおける男性の取得割合が高いのは,妻への譲渡不可能な60日間の「父親休暇」制度が影響していると考えられる。

アメリカでは,合計休業期間は短いものの,時間単位取得等柔軟な方法で取得可能であるため,男性も利用しやすいと考えられる。

しかし,男性の育児休業取得率が高い国々でも,女性の取得率に比べると男性の取得率は低い。この要因として,日本に比較して小さいものの,各国に残る男女間の賃金格差が大きく影響していると考えられる。


(保育サービスの利用状況)

3歳未満の子の保育サービス利用と女性の労働力の関係をみると,保育サービス利用が進み,子育てのサポート体制が整っている国ほど,女性の労働力率が高い傾向にある。

スウェーデンでは,保育サービス利用率が高く,女性労働力率も高くなっている。前述の育児休業制度等,仕事と子育ての両立を支える仕組みが手厚く設けられているからと考えられる。

ドイツでは,保育サービス利用率は低いが,3歳までの育児休業が可能であるため,労働力率を引き上げていると考えられる。

アメリカは,保育サービス利用率が高く,民間保育サービスの選択肢が多い一方で,育児休業制度が不十分であることから,スウェーデンほどの労働力率の高さにはなっていない。

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