平成15年版男女共同参画白書

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第4節 多様な就業ニーズを踏まえた就業環境の整備

1 パートタイム労働対策の総合的な推進

(1)パートタイム労働法及び指針の周知・徹底等

厚生労働省では,「パートタイム労働旬間」(11月1日~10日)を中心に,短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成5年法律第76号)及び同法に基づく「事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等のための措置に関する指針」(平成5年労働省告示第118号)に基づき指導等を行っている。

また,通常の労働者との均衡を考慮した雇用管理の基本的な考え方について,事業主,事業主団体,労働組合等に対し「パートタイム労働に係る雇用管理研究会報告」(平成12年4月)及び「パートタイム労働研究会報告」(14年7月)の内容について情報提供を行っている。同年9月からは,これを踏まえて,労働政策審議会雇用均等分科会で通常の労働者とパートタイム労働者との間の公正な処遇問題を中心に,今後のパートタイム労働対策の方向について検討を重ねてきたところであるが,その結果を15年3月に報告書として取りまとめた。この結果を踏まえ,パートタイム労働対策に取り組んでいくこととしている。

短時間労働援助センターにおいては,雇用するパートタイム労働者に一定の雇用管理面での改善を図る等他の事業主の模範となる取組を行う中小企業事業主やパートタイム労働者の雇用管理改善等のための活動に取り組む事業主団体に助成金を支給している。また,雇用管理アドバイザーによる情報提供,相談援助を実施するとともに,事業主による自主点検を行っている。さらに,パートタイム労働者の能力活用に関する業種別使用者会議を開催し,パートタイム労働者の能力活用を図るための環境整備を行っている。

(2)パートタイム労働者の雇用の安定

パートタイム雇用に関する職業紹介サービスを提供するパートバンク及びパートサテライトを増設し,パートタイム雇用に係る円滑な需給調整を推進している。

(3)パートタイム労働者に対する能力開発

公共職業能力開発施設においては,パートタイム等の短時間の就労を希望する者に対し必要となる基礎的な能力を身に付けさせるための短時間の職業訓練を実施している。

2 労働者派遣事業に係る対策の推進

労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和60年法律第88号)に基づき,適正な事業運営が確保されるよう派遣元事業主,派遣先等に対し,制度の周知及び指導の徹底を図るとともに,公共職業安定所において派遣労働者等からの苦情相談に対応している。

また,労働者派遣制度等の民間労働力需給制度全体の在り方について検討を進め,平成14年12月26日に労働政策審議会から厚生労働大臣あて,職業紹介事業制度,労働者派遣事業制度等の改正について建議が行われた。

3 女性起業家,家族従業者等に対する支援

経済産業省では,国民生活金融公庫及び中小企業金融公庫を通じた,優遇金利適用や担保徴求免除の特例等を旨とする融資制度を創設し,女性による開業・創業の支援を行っている。

また,日本商工会議所等が開催している,創業に向けて具体的なアクションを起こそうとする女性を対象とした創業塾等,能力開発支援のための事業に対する補助を行っている。

さらに,新事業創出促進法の一部改正による,商法上の最低資本金規制(株式会社1,000万円,有限会社300万円)の特例措置を実施することにより,会社設立のためのハードルを引き下げる等,女性も起業しやすい環境整備を行っている。

厚生労働省では,「女性と仕事の未来館」において,女性起業家等に対し,個別相談や女性起業家との交流を含めたセミナーの開催等支援事業を実施している。

4 在宅勤務,SOHO等,新しい就業形態等に係る施策の推進

(1)テレワーク・SOHOの普及促進

国土交通省,総務省,厚生労働省,経済産業省は連携して,全国的なテレワーク人口調査を始めとする実態調査を実施するとともに,テレワークの推進のための総合的な支援方策の検討を行っている。

総務省では,地域活性化,雇用機会拡大等を目的に,国の財政的支援措置として「テレワークセンター施設整備事業」を実施するとともに,官民におけるテレワーク導入の気運を高める啓発,周知活動等の普及促進を行っている。また,SOHOや在宅テレワーカーのサポートに資する高度な情報通信システムを構築・展開していくための研究開発を通信・放送機構を通じて実施している。

また,テレワーク・SOHOの支援施設の整備に対する日本政策投資銀行等による融資を実施している。

経済産業省では,SOHO事業者の活動を支援するため,SOHO事業者と発注者側企業の仲介機能(エージェント機能)の強化等を推進している。

国土交通省では,女性や高齢者等がテレワークを気軽に実施することができる環境を整備している。また,エッセイコンテスト及び記念セミナーの実施により普及啓発活動を行っている。

厚生労働省では,在宅勤務等テレワークの適正な労務管理の下での普及を図るため,引き続きシンポジウムの開催等普及啓発事業を行うほか,「テレワーク相談センター」において相談等を実施している。

また,非雇用型で,文章入力,テープ起こし等比較的単純・定型的な作業を行う在宅ワーカーに対し,契約をめぐるトラブル等の発生を未然に防止するため,契約に係る最低限のルールを定めた「在宅ワークの適正な実施のためのガイドライン」の自主点検票を活用し,ガイドラインの遵守徹底を図っている。

さらに,在宅ワーク希望者や初心者を対象に,在宅ワーカーとして必要な心得や能力を自己診断するシステムをインターネット上で公開する等の支援事業を実施している。

(2)家内労働者の労働条件の改善

厚生労働省では,家内労働者の労働条件の向上と生活の安定を図るため,家内労働手帳の普及,工賃支払の確保,最低工賃の決定・周知,安全衛生の確保及びいわゆる「インチキ内職」の被害防止等を推進し,委託者,家内労働者に対し,家内労働法(昭和45年法律第60号)の周知徹底を図っている。

(3)ワークシェアリングについての検討

多様な働き方の選択肢を拡大する多様就業型ワークシェアリングについては,平成14年12月26日に「多様な働き方とワークシェアリングに関する政労使合意」を厚生労働省,日本経済団体連合会,日本労働組合総連合会の間で取りまとめた。この中で,政労使は,多様な働き方とワークシェアリングに関する事項について課題を整理し,それぞれの立場で,着実に具体化を進めていくことに合意した。

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