平成15年版男女共同参画白書

本編 > 第1部 > 第2章 > 第1節 就業者をめぐる状況

第1節 就業者をめぐる状況

(雇用者の割合は大きく上昇)

就業者の従業上の地位別の構成割合の推移をみると,雇用者の割合が大きく上昇し,これに伴い,家族従業者,自営業主の割合が低下している。平成14年では,非農林業における雇用者の割合が女性86.7%,男性87.7%と高い。また,雇用者全体に占める女性割合も増加しており,14年には40.5%となっている。

(女性を中心に非正規化が進む雇用形態)

雇用者の雇用形態別構成の推移をみると,正規の職員・従業員の割合は,昭和60年の女性68.1%,男性92.8%から平成13年には女性52.3%,男性87.5%に低下し,パート(パートと呼ばれている者をいう。以下同じ。),アルバイトなど非正規労働者の割合が上昇している。特に,女性では,昭和60年に28.4%であったパート・アルバイトの割合が平成13年に42.7%へと急増しており,女性において非正規化が急速に進んでいることがわかる。また,派遣労働者も近年増加傾向にある(第1-2-1図)。

第1-2-1図 雇用形態別にみた役員を除く雇用者(非農林業)の構成割合 別ウインドウで開きます
第1-2-1図 雇用形態別にみた役員を除く雇用者(非農林業)の構成割合

(入職者に占めるパートタイム労働者の割合は男女ともに増加)

全入職者に占めるパートタイム労働者の割合は,男女ともに増加しており,女性では50%を超え,男性においても約20%となっている。

また,女性の一般未就業者(当該事業所に入職する前1年間に就業経験がなかった者をいい,学卒未就業者を除いた者。)からの全入職者に占めるパートタイム入職者の割合は,70%を超えており,正社員での入職は難しくなっている現状にある(第1-2-2図)。

第1-2-2図 パートタイム労働者の入職状況 別ウインドウで開きます
第1-2-2図 パートタイム労働者の入職状況

(女性のパートタイム労働者の正社員希望は高い)

(財)21世紀職業財団「多様な就業形態のあり方に関する調査」(平成13年)によると,女性のパートタイム労働者が非正社員を希望した動機としては,20歳代では,「正社員として働きたかったが,希望にあう勤務先がなく,やむを得ず非正社員になった」者が比較的多くなっているが,30~50歳代では,「自ら進んで非正社員になった」者が多くなっている。

しかし,「育児・家事・介護がなかったら正社員を希望した」者は,30~34歳で55.6%,35~39歳で47.5%,40~44歳で49.7%と子育て期の女性で高くなっている(第1-2-3表)。

第1-2-3表 女性のパートタイム労働者が非正社員を希望した動機 別ウインドウで開きます
第1-2-3表 女性のパートタイム労働者が非正社員を希望した動機

一方,転職入職者の就業形態間の移動状況をみると,パートタイム労働者から一般労働者への移動は,男性より女性で多いものの,12.0%と少ない。

一度パートタイムで入職すると,その後,正社員として働きたいと思っても,正社員として入職できる機会は小さいといえる。

(パートタイム労働者から正社員への転換制度は卸売・小売業,飲食店で比較的多い)

厚生労働省「平成13年パートタイム労働者実態調査」によると,パートタイム労働者を雇用している事業所で,正社員への転換制度がある事業所の割合をみると,46.4%となっており,中でも「卸売・小売業,飲食店」で53.9%と比較的高くなっている。

しかし,パートタイム労働者として入職した場合に,同一企業内で正社員として働くことができる可能性はまだまだ少ない。

(女性家族従業者は出産・育児休業取得が難しい状況にある)

総務省「労働力調査」(平成14年)によると,家族従業者に占める女性の割合は81.0%に上る。中小企業庁「自営中小企業者の家族の労働と健康に関する調査」(平成13年度)によると,女性の家族従業者の労働時間は「7時間未満」が23.3%,週の休日については「週休1日」が33.3%と最も多い割合を示す。産前産後休業については,「取れない」が17.2%,「法定日数以下」が14.1%と多く,育児休業については「取れない」が18.3%で最も多い。また,休みが取れない理由としては「人手が足りないから」(33.5%)を挙げる者の割合が最も高い。

事業展開上の課題としては「売上高の減少,競争激化」が73.0%と最も多く,厳しい経営状況を映し出している。また,これら課題の解決策としては「経営に役立つ情報提供」(46.1%),「融資・信用保証」(30.7%),「税制優遇措置」(30.0%)と経営情報や資金面でのニーズの高さを示している。

内閣府男女共同参画局 Gender Equality Bureau Cabinet Office〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
電話番号 03-5253-2111(大代表)
法人番号:2000012010019