平成15年版男女共同参画白書

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おわりに

政治・行政分野,労働分野,家庭生活の三つの側面から女性の社会参画状況や制度・意識について諸外国と比較・分析してきた。

日本の女性は,欧米諸国等の女性に比較して社会参画は低い水準にとどまっている状況や要因がデータからも裏付けられた。

政治の分野では,社会的背景や政治的背景等の違いから各国の取組は多様である。スウェーデン,ドイツ,イギリスでは政党の自主的な判断においてクォータ制を実施し,韓国では政府が主導的にクォータ制を実施する一方で,アメリカではクォータ制の実施に対しては消極的で民間団体等の支援が積極的に行われている。しかし,どの国においても,女性の政策決定過程への参画が重要ととらえられており,積極的な取組により効果が表れていることがわかった。

今後,日本でも女性が政治や行政分野へ果敢にチャレンジし,それを支援していく様々なレベルでの取組が行われ,女性の参画のスピードアップが図られるものと期待される。

労働分野における男女共同参画社会の形成のためには,仕事と家事・育児を両立させる法律や制度の充実も含めた環境条件の整備が必要であり,諸外国でもそれぞれの国の特徴を踏まえつつ,その整備に努めてきている。年齢階級別労働力率が逆U字カーブを示す欧州諸国では,正社員のまま,フルタイム労働とパートタイム労働の相互転換ができるシステムになっている。どの国においても,女性のパートタイム比率は高いが,退職しなくてもパートタイムに働き方を変えられるという点が,育児期の女性労働力率を低下させないことに大きく影響しているなど,女性が働きやすい環境整備の促進が女性の社会参画に不可欠と考えられることがわかった。

家庭生活においては,豊かでゆとりある生活を送ることを可能とするためには,夫婦が家庭生活における役割について協力していく環境を構築していくことが必要である。家族の果たしている役割のうち家事分担をみると,日本では男性の長時間労働の影響もあり,妻に偏りがあるのに対し,欧米諸国では比較的家族全員で行う割合が高いなど,日本の固定的性別役割分担意識が依然として根強く存在していることがわかった。

労働と家庭の分野においては今後,仕事と子育ての両立支援策等の環境整備を強力に推進するとともに,性別役割分担に縛られることなく,男女が仕事にも家庭生活にもバランスよく参画できるような社会をつくり出していくことが求められているといえよう。

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