平成14年版男女共同参画白書

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平成13年度に講じた男女共同参画社会の形成の促進に関する施策

第1章 男女共同参画社会に向けた施策の総合的な推進

  • 男女共同参画会議においては,平成13年度は,前年度に引き続き仕事と子育ての両立支援策について調査審議を進め,6月に,具体的な目標と実施期限を明示した「仕事と子育ての両立支援策に関する方針についての意見」を決定した。

    また,平成13年10月には,女性に対する暴力に関して,配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(以下「配偶者暴力防止法」という。)が同月に一部を除き施行されることに伴い,「『配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律』の円滑な施行に関する意見」を決定し,関係各大臣に意見を述べるとともに,男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の実施状況を監視するに当たり,「男女共同参画会議における監視の実施方針」及び「男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の実施状況の監視に関する平成13年度の活動方針について」を決定した。

    このほか,女性が新たな分野に積極的に挑戦していくことを支援するため,総理からの指示に基づき調査審議を開始した「女性のチャレンジ支援策」や,選択的夫婦別氏制度,男女共同参画に関する苦情の処理システム,女性のライフスタイルに大きな影響を及ぼす税制,社会保障制度,雇用システムに対する調査など様々な課題について調査審議を行っている。

  • 内閣府では,地方公共団体に対し,男女共同参画社会基本法に基づく男女共同参画計画の策定に当たっての情報提供を行っているところである。とりわけ,市町村に対しては,計画の策定に資するよう,平成13年8月に「市町村男女共同参画計画の策定の手引」を作成,提供し,その積極的な支援を図っているところである。
  • 「『男女共同参画週間』について」(平成12年12月男女共同参画推進本部決定)に基づき,13年度より6月23日から29日までの1週間,「男女共同参画週間」を実施している。この期間内において,「男女共同参画社会づくりに向けての全国会議」の開催や「男女共同参画社会づくり功労者内閣官房長官表彰」を始めとして,地方公共団体,女性団体その他の関係団体の協力の下,全国的に各種行事を行い,広報啓発活動を行っている。

第2章 政策・方針決定過程への女性の参画の拡大

  • 人事院は,各府省が「積極的改善措置」により女性国家公務員の採用・登用の拡大を総合的かつ計画的に推進するよう,平成13年5月,採用・登用の拡大に取り組む基本的考え方,現状把握及び分析の実施,採用・登用の拡大に当たっての留意点,勤務環境の整備等を盛り込んだ「女性国家公務員の採用・登用の拡大に関する指針」を策定し,各府省に通知した。

    この指針を踏まえ,平成13年6月,男女共同参画推進本部において,政府一体となって推進するよう「女性国家公務員の採用・登用等の促進について」決定を行った。各府省は,指針に基づき,女性職員の採用・登用状況についての現状把握及び分析を行い,その結果を踏まえ,2005(平成17)年度までの目標を設定した「女性職員の採用・登用拡大計画」を策定し,女性の採用・登用の拡大に向けての取組を推進している。

第3章 男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し,意識の改革

  • 法務省では,家族に関する法制については,男女平等などの見地から,婚姻及び離婚制度の改正について更に検討を進めている。その制度のうち,選択的夫婦別氏制度の導入に関して,平成13年5月に実施した世論調査の結果によると,賛成する者の割合が反対する者の割合を上回る結果が示された。

    また,男女共同参画会議基本問題専門調査会は,平成13年10月,「選択的夫婦別氏制度に関する審議の中間まとめ」を取りまとめ,公表した。

  • 厚生労働省では,「女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討会」を開催,検討を行い,平成13年12月に最終報告書をまとめた。

第4章 雇用等の分野における男女の均等な機会と待遇の確保

  • 厚生労働省は,男女労働者間の格差が大きい企業に対して,ポジティブ・アクションを行うよう指導を行うほか,具体的取組方法についての相談,情報提供等を実施し,企業での取組を促進している。また,ポジティブ・アクションの取組を一層広く普及させていくための新たな仕組みとして,経営者団体と連携し,女性の活躍推進協議会を開催している。
  • 厚生労働省は,我が国の男女間の賃金格差問題について,その要因の分析,企業における賃金・処遇制度が及ぼす影響等を把握するとともに,格差を縮小するための取組の方向性について検討を行っている。
  • 厚生労働省では,平成13年3月から,「パートタイム労働研究会」を開催し,今後のパートタイム労働政策の在り方について検討を進めており,14年2月に「パート労働の課題と対応の方向性」(中間とりまとめ)を公表した。

第5章 農山漁村における男女共同参画の確立

  • 農林水産省では,新たに,女性農業者自らのライフステージに応じて出産・育児期にある女性の農業経営参画が可能となるよう経営管理等の研修,母性保護のためのセミナーの開催等を行った。
  • 農林水産省では,都道府県において策定された農山漁村の女性の参画目標の達成に向け,学習会の開催等や夫婦セミナーの開催等の啓発活動等を実施するとともに,市町村においても参画目標の策定,その達成に向けた啓発活動等を実施している。

第6章 男女の職業生活と家庭・地域生活の両立の支援

  • 総合的な少子化対策の指針として策定された「少子化対策推進基本方針」(平成11年12月少子化対策推進関係閣僚会議決定)及びこの基本方針を受け,具体的な実施計画として策定された「重点的に推進すべき少子化対策の具体的実施計画について(新エンゼルプラン)」(11年12月大蔵・文部・厚生・労働・建設・自治6大臣合意)に基づき,総合的な少子化対策の推進を図っている。
  • 平成13年7月,政府は「仕事と子育ての両立支援策について」を閣議決定した。同閣議決定は,「両立ライフへ職場改革」,「待機児童ゼロ作戦」,「必要な地域すべてに放課後児童対策を」など5つの柱立てに沿って,それぞれ具体的目標及び施策を示し,16年度までに実施することとしており,これに基づき各種施策を実施している。内閣府では,経済団体等に対して,閣議決定の趣旨や仕事と子育ての両立に向け協力を依頼するとともに,男女共同参画に係る各種会議等の場において,閣議決定の趣旨の説明や意見交換などの取組を行っている。
  • 平成14年3月,母子及び寡婦福祉法等の一部を改正する法律案を第154回国会に提出した。
  • 平成13年11月,育児休業,介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正する法律が成立し,14年4月から全面的に施行されており,集団説明会等を実施し同法の周知徹底を図っている。
  • 文部科学省では,平成13年度は新たに,小学校入学前の子どもを持つ親が参加する就学時健診や母子保健活動等の機会を活用した子育て講座を全国的に開設するとともに,思春期の子どもの問題行動に悩む親向けの講座をモデル的に実施した。

第7章 高齢者等が安心して暮らせる条件の整備

  • 厚生労働省では,高年齢者の雇用・就業の促進を図るため,定年の引上げ,継続雇用制度導入等による65歳までの雇用の確保や再就職の援助を進めるほか,シルバー人材センターによる就業意欲や体力の多様化に応じた就業機会の提供等に努めている。また,雇用対策法を改正し,募集・採用における年齢制限緩和の努力義務の規定を設け,事業主に対し年齢制限の緩和の指導を行っている。さらに,国民各層を代表する者で形成される有識者会議を開催し,「年齢にかかわりなく働ける社会」の実現に向けて,雇用全般の在り方について幅広く議論している。

第8章 女性に対するあらゆる暴力の根絶

  • 平成13年6月,男女共同参画推進本部において,毎年11月12日から25日(国連が定めた「女性に対する暴力撤廃国際日」)までの2週間にかけて,「女性に対する暴力をなくす運動」を実施することが決定された。13年度は,配偶者暴力防止法の周知等に重点を置いて実施した。期間中,「女性に対する暴力に関するシンポジウム」を開催した。
  • 平成13年4月,配偶者からの暴力に関し,都道府県が配偶者暴力相談支援センターの役割を果たすことや裁判所が加害者に対して保護命令を発することなどの規定が盛り込まれた配偶者暴力防止法が成立し,同年10月(一部については14年4月)から施行された。政府としては,この法律が円滑に施行されるよう,関係府省が連携を取りながら,各種取組を行っている。
  • 厚生労働省においては,被害女性に対しては,福祉的な観点から婦人相談所において緊急一時保護等を実施しているが,平成13年度から,婦人相談所等の夜間における警備体制の強化を図るとともに,被害者を必要に応じ他の都道府県に移動させて保護する広域措置を推進している。
  • 2001(平成13)年12月17日から20日まで,横浜市において,「第2回児童の商業的性的搾取に反対する世界会議」が国連児童基金(UNICEF),国際NGO2団体との共催により開催された。同会議には,136か国の政府,国内外のNGO,23の国際機関等,3,050人が参加し,6つの主要テーマ(1)児童ポルノ,(2)児童の性的搾取からの予防,保護及び回復,(3)児童のトラフィッキング,(4)民間セクターの役割と責任,(5)性的搾取者及び(6)立法と法執行に関する3つのパネル及び107のワークショップ,各国,国際機関によるステートメントが行われた。会議最終日には,児童買春,児童ポルノ及び性的搾取目的の児童のトラフィッキングの根絶に向けた国際社会の取組の促進を呼びかける宣言「横浜グローバル・コミットメント2001」が採択された。

第9章 生涯を通じた女性の健康支援

  • 平成14年4月から使用される母子健康手帳の様式の大幅な改正を行い,父親の育児参加,育児支援,働く女性・男性のための出産・育児に関する制度についての記述の充実等を行った。

第10章 メディアにおける女性の人権の尊重

  • 内閣府では,青少年の健全な育成の観点から,青少年が各種メディア等を通じて性描写や暴力・残虐表現を含む情報に接することに関する問題に対応するため,(1)国の取組事項,(2)国から地方公共団体への要請事項,(3)国から関係業界団体等への要請事項について盛り込んだ「青少年を取り巻く環境の整備に関する指針」(青少年育成推進会議申合せ)を平成13年10月に策定し,関係各省と連携しながら取組を推進している。

第11章 男女共同参画を推進し多様な選択を可能にする教育・学習の充実

  • 平成13年度から,青少年の社会性を育むために,地域の子どもたちが年間7日程度の奉仕活動に取り組むモデル事業や,悩みを抱える青少年を対象とした体験活動推進事業を実施している。また,独立行政法人国立オリンピック記念青少年総合センターに「子どもゆめ基金」を新たに設け,民間団体の行う子どもの体験活動等に対する助成を行っている。
  • 平成13年度から新たに,発達段階に応じたキャリア教育を推進するため「キャリア教育実践モデル地域の指定」事業を行っている。

第12章 地球社会の「平等・開発・平和」への貢献

  • 平成14年2月,内閣官房長官の懇談会として「アフガニスタンの女性支援に関する懇談会」を開催し,アフガニスタン復興支援を進めるに当たり,女性のニーズに配慮した支援の在り方について検討を行っている。
  • 内閣府では,男女平等に向けて特に早くから取組が行われている欧州諸国での男女共同参画の動きや変化について情報を得るとともに,政策担当者との意見・情報交換ネットワーク作り等を目的として,欧州評議会第23回男女平等運営委員会(平成13年11月)に,オブザーバーとして初めて参加した。
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