平成14年版男女共同参画白書

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平成13年度 男女共同参画社会の形成の状況に関する年次報告

第1部 男女共同参画社会の形成の状況

序説 都道府県別にみた男女共同参画社会の形成の状況

第1表 都道府県別にみた議会における女性議員割合,管理的職業従事者の女性割合及び育児期の女性の労働力率

1議会(市区・町村の計)における女性議員割合を見ると,東京都,神奈川県,大阪府,埼玉県,京都府といった大都市圏で高く,地方圏で低い状況にある。

2管理的公務員,会社・団体等の役員など管理的職業従事者に占める女性割合については,東京都,沖縄県,徳島県,高知県,京都府で高く,大都市圏,地方圏といった地域性はあまりない。

一方,3育児期(ここでは30~39歳)の女性の労働力率をみると,山形県,富山県,鳥取県,福井県,島根県といった地方圏で高く,奈良県,神奈川県,大阪府などの大都市圏で低い。

このように,女性の参画は,地域的に一様ではなく,分野ごとにばらつきがみられる。一部の分野では,大都市圏よりも地方圏の方が女性の参画が多いところもみられる。

(都市圏で低い男女の就業率)

平成12年の女性の就業率は,都道府県別にみると,福井県,山形県,富山県で高く,奈良県,大阪府,兵庫県で低い。一方,男性では,長野県,富山県,静岡県で高く,沖縄県,福岡県,大阪府で低い。男女の就業率はともに都市圏で低い。

(男女ともに第3次産業が高いが,男性では第2次産業で女性に比して高い)

都道府県ごとに,産業別の就業者構成比をみると,女性では,各都道府県とも第3次産業が6割を超え,男性も6割程度に達している。都道府県別にみると,女性では沖縄県が8割を超え,次いで,東京都,神奈川県で高く,男性では東京都,沖縄県,千葉県が高い。第2次産業は,女性より男性で高く,男性では滋賀県,富山県,岐阜県で,女性では岐阜県,福井県,富山県で多い。第1次産業は,女性では岩手県,青森県,長野県で高く,男性でも青森県,長野県,高知県,宮崎県で高い。

(九州,四国地方で高い専門・技術職に占める女性割合)

ここで,看護師,教員等といった専門的・技術的職業従事者における女性割合をみると,九州,四国地方で高く,関東地方では低い(第2図)。

第2図  都道府県別専門的・技術的職業従事者の女性割合

専門的・技術的職業従事者の内訳をみると,女性割合が高い地域では,保健・医療(主に看護師),福祉の割合が高く,逆に,女性割合の低い地域では,科学・技術研究者や法務・経営専門従事者を含むその他の専門・技術職が多くなっており,職域に幅がみられる。教員についてみると,いずれの地域においても2割程度を占めている。このように専門的・技術的職業の女性割合が高い地域,地方圏では,保健・医療,福祉などの対人サービスの割合が高い。一方,男性の専門的・技術的職業従事者の内訳を,男性比率の順にみてみると,男性比率の高い地域では,科学・技術研究者が多く,男性比率が少なくなると,社会福祉・保健医療従事者,教員の割合が多くなっている(第3図)。

第3図  都道府県別専門的・技術的職業従事者の内訳

(増加傾向にあるが,依然として低い女性の管理職への就任)

地方公共団体,民間企業における女性の管理職への就任の状況をみると,総じて増加傾向にあるものの,その割合は依然低い(第4図)。

地方公共団体のうち,都道府県における管理職の女性割合は,平成3年には3%台に達し,13年には4.3%となっている。政令指定都市においても堅調に増加しており,13年には5.4%となっている。

民間企業では,部長相当職,課長相当職ともに増加傾向にあり,平成13年で部長相当職1.8%,課長相当職3.6%となっている。なお,国の行政機関における管理職の女性割合は,地方公共団体,民間企業に比べ低い状況にある。

第4図  地方公共団体及び民間企業における管理職の女性割合の推移

(女性管理職・活用が進まない理由)

女性管理職の少ない理由について,企業を対象とした調査をみると,理由として多いのが,「必要な知識や経験,判断力等を有する女性が少ない」,次いで「勤続年数が短く,役職者になるまでに退職する」,「将来就く可能性のある者はいるが,役職者に就くための在職年数等を満たしている者がいない」となっており,職務経験の有無を理由としている。

また,女性の活用に当たっての問題点としては,「女性の勤続年数が平均的に短い」,「家庭責任を考慮する必要がある」,「時間外労働,深夜業をさせにくい」が多くなっている。

このように,女性の管理職への登用,活用の問題点として,女性の勤続年数の短さが指摘されることが多い。

(女性労働者の勤続年数)

では,女性労働者の勤続年数性一般労働者の平均勤続年数はどのような状況にあるのだろうか。平均勤続年数をみると,全国平均では8.9年であるが,地域別にみるとばらつきがある。富山県,岩手県,徳島県,福井県,山形県,秋田県,福島県,新潟県,島根県,鳥取県,栃木県,滋賀県で10年を超えているなど,東北,北陸,中国,四国地方において長くなっている(第5図)。

第5図  都道府県別女性一般労働者の平均勤続年数

(M字カーブ)

こうした地域による勤続年数の違いはどうして起こるのだろうか。勤続年数が長い県と短い県について,女性の年齢階級別にみた労働力率,いわゆるM字カーブをみると,勤続年数の長い県のM字カーブは,勤続年数の短い県とは大きく異なり,M字のくぼみが小さく,30歳代の育児期の女性の就業が多い。

女性の勤続年数が長い富山県における労働力率の前半のピークとなる20~24歳とボトムの30~34歳の差をみると7.8ポイント,岩手県では同様に9.0ポイントであった。一方,勤続年数が短い北海道はピークとなる20~24歳とボトムの30~34歳の差をみると16.1ポイント,奈良県は同様に17.8ポイントとなっており,M字のくぼみに違いがみられる。

M字カーブのくぼみが大きい理由をみると,労働力率が落ち込む30~34歳層の離職理由は,結婚,育児にその主因があると考えられる(第6図)。

第6図  M字カーブと離職の理由の比較

(家庭のサポート)

一方,勤続年数が長い県では,仕事と家事・育児などの両立に,家庭のサポートがあると考えられる。具体的には,親との同居による家事・育児分担による家庭のサポートが勤続年数が長くなっている一要因と考えられる。

親との同居世帯と勤続年数の長さとの関係をみると,勤続年数の長い県では親との同居割合が高く,他方,勤続年数の短い県では低い傾向がみられる。

(一層の仕事と子育ての両立支援が必要)

このように,家庭のサポートの有無は,女性の勤続年数に影響を与えるものと考えられる。例えば,6歳未満の子のいる世帯でみると,夫婦のみの世帯よりも親と同居している世帯での妻の有業割合が高い。

世帯構成比の推移をみると,親との同居世帯は減少傾向となっている。一方,妻が有業で末子が6歳未満である世帯(計)は横ばいであるが,妻が有業で末子が6歳未満である核家族は増加している。

したがって,親との同居世帯の減少,さらには,育児期の子を持つ核家族の妻についても,一層の仕事と子育ての両立支援が重要である。例えば,都道府県別にみた共働き世帯の割合と保育所利用率に相関がみられることは,両立支援の重要性を裏付けるものといえよう。

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