男女共同参画社会基本法逐条解説

(所掌事務)

第22条 会議は、次に掲げる事務をつかさどる。

男女共同参画基本計画に関し、第13条第三項に規定する事項を処理すること(1)

前号に掲げるもののほか、内閣総理大臣又は関係各大臣の諮問に応じ、男女共同参画社会の形成の促進に関する基本的な方針、 基本的な政策及び重要事項を調査審議すること。

前二号に規定する事項に関し、調査審議し、必要があると認めるときは、内閣総理大臣及び関係各大臣に対し、意見を述べること。

政府が実施する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策(2)の実施状況を監視(3)し、及び政府の施策が男女共同参画社会の形成に及ぼす影響を調査し、必要 があると認めるときは、内閣総理大臣及び関係各大臣に対し、意見を述べること。

1 趣旨

基本法は、男女共同参画社会の形成の促進機能を男女共同参画会議に持たせており、本条で男女共同参画会議の 所掌事務を定めた。

男女共同参画会議の所掌事務は、旧審議会(政令)、旧審議会(法)、新審議会(法)に比べ格段に充実、強化されている。

(1)第一号

政府が男女共同参画基本計画を策定及び変更するに当たって、事前に内閣総理大臣が、男女共同参画会議の意見 を聴くことを義務付けている。男女共同参画社会基本法第13条第3項に規定する「内閣総理大臣は、男女共同参画会議 の意見を聴いて、男女共同参画基本計画の案を作成し、」の事務を規定したものである。

この規定は、新審議会(法)の規定と同一である。

(2)第二号

旧審議会(法)の事務であった「審議会は、内閣総理大臣又は関係各大臣の諮問に応じ、男女共同参画社会の形成 の促進に関する基本的かつ総合的な政策及び重要事項を調査審議する」は、新審議会(法)の事務として継承された。こ れが男女共同参画会議の事務にも引き継がれている。

「基本的かつ総合的な政策及び重要事項」が「基本的な方針、基本的な政策及び重要事項」と変わっているが、内閣 府設置法案第4条第1項第9号に定める「基本的な政策」の規定ぶり等を踏まえ、変更されたものである。

(3)第三号

諮問に対する調査審議だけでなく、男女共同参画会議自ら調査、審議を行い、必要があると認める場合には意見を述 べることができることを規定している。

旧審議会(法)(「審議会は、前項の諮問に関連する事項について、内閣総理大臣又は関係各大臣に意見を述べるこ とができる。」)、新審議会(法)(「審議会は、前項に規定する事項に関し、内閣総理大臣及び関係各大臣に対し、意見を 述べることができる。」)では、諮問に係る事項に関して意見を述べることとされていたが、男女共同参画会議では諮問の 有無にかかわらず、自ら調査審議し、意見を述べることができる。

これは、内閣府設置法(平成11年法律第89号)において重要施策の会議に規定されている設置目的(内閣の重要政 策に関して行政各部の施策の統一を図るために必要となる企画立案並びに総合調整に資するため)を踏まえ、内閣府に 設置されている他の重要政策会議における規定と同様に、第1号及び第2号に規定する事項に関し調査審議すること、 必要があると認めるときは、内閣総理大臣及び関係各大臣に対し意見を述べることができるとしたものである。

なお、経済財政諮問会議及び総合科学技術会議においても内閣府設置法で同様の規定が置かれており、いずれも 諮問なしに意見を述べられると解釈、運用されている。

(4)第四号

いわゆる監視と第15条(施策の策定等に当たっての配慮)を受けた影響調査である。

ある施策が男女共同参画の形成に影響を及ぼすか否かの判断は第一義的には施策を策定・実施する主体である が、男女共同参画社会の形成の重要性にかんがみ、男女共同参画会議が自ら判断し、監視又は調査し、必要があると認め るときは、内閣総理大臣及び関係各大臣に対し、意見を述べるとされている。

監視とは、第4号で定めるとおり、政府が実施する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の実施状況の監視 のことである。

影響調査の趣旨は、男女共同参画社会の形成に当っては、あらゆる施策が男女共同参画社会の形成に影響を及ぼ すものとなり得ることを認識することが必要であること、このような視点をあらゆる施策に反映することが重要であることを いったものと考えられる。このような趣旨から、基本法においては、第15条(施策の策定等に当たっての配慮)において、 「男女共同参画社会の形成に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、男女共同参画社会 の形成に配慮しなければならない。」とするほか、第4条(社会における制度又は慣行についての配慮)、第17条(苦情の 処理等)、第18条(調査研究)においても、施策の様々な観点での影響について規定しているところである。

このため、「政府の施策が男女共同参画社会の形成に及ぼす影響を調査し、必要があると認めるときは、内閣総理大 臣及び関係各大臣に対し、意見を述べること」と規定した。


2 用語解説

(1)「第13条第3項に規定する事務を処理すること」

第13条第3項の「内閣総理大臣は、男女共同参画会議の意見を聴いて、男女共同参画基本計画の案を作成し、閣議 の決定を求めなければならない」とされており、内閣総理大臣からの諮問に応じ、男女共同参画計画について調査審議す る。

(2))「政府が実施する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策」

基本法第8条に定義する施策を指し、同法においては、その実施主体を第2章において国及び地方公共団体としてい ることから、本条においては、調査対象となる施策の実施主体を明確にするため「政府が実施する…施策」とした。

(3)「監視」

男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の実施状況について資料収集、説明聴取、調査実施などにより実態を 的確に把握するとともに、講ぜられている施策について、基本理念、男女共同参画基本計画等に照らし、適切な内容に なっているか、所期の成果が上がっているかどうかについて評価を行うことをいう。

監視した結果については、「必要があると認めるときは、内閣総理大臣及び関係各大臣に対し意見を述べること」とし た。

なお、行政に対する監視について規定した例として、地方分権推進法(平成7年5月19日法律第96号。6年の時限であ り、平成13年度に失効している。第10条第2項「委員会は、地方分権推進計画に基づく施策の実施状況を監視し、そ の結果に基づき内閣総理大臣に必要な意見を述べる。」)があるが、監視の結果については意見を述べることとされてい る。

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