男女共同参画社会基本法逐条解説

(都道府県男女共同参画計画等)

第14条 都道府県は、男女共同参画基本計画を勘案して(1)ア、 当該都道府県の区域における男女共同参画社会の形成の促進に関する施策についての基本的な計画(以下「都道府県男女共同参画計画」という。)を定めなければならない。

2 都道府県男女共同参画計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

都道府県の区域において総合的かつ長期的に講ずべき 男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の大綱(2)ア

前号に掲げるもののほか、都道府県の区域における男女共同参画社会の形成の 促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項(2)イ

3 市町村は、男女共同参画基本計画及び都道府県男女共同参画計画を勘案して、当該市町村の区域における男女共同参画社会の形成の促進に関する施策についての基本的な計画(3)ア(以下「市町村男女共同参画計画」という。)を定めるように努めなければならない(3)イ

4 都道府県又は市町村は、都道府県男女共同参画計画又は市町村男女共同参画計画を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

1 趣旨

地方公共団体においても、各地方公共団体の男女共同参画社会の形成の状況等を踏まえ、基本計画を策定し、計画 的、総合的に取り組む必要があることから、男女共同参画社会の形成の促進に関する基本的な計画を定めることを規定 している。

また、国と地方公共団体は、共通の基本理念にのっとり、施策を行うことにより、全体としての男女共同参画社会の形 成を目指すものであり、第9条においても「地方公共団体は、基本理念にのっとり、男女共同参画社会の形成の促進に関 し、国の施策に準じた施策及びその他のその地方公共団体の区域の特性に応じた施策を策定し、及び実施する責務を 有する。」と規定されている。このため、都道府県は国の男女共同参画基本計画を、市町村は国の男女共同参画基本計 画及び都道府県男女共同参画計画を勘案してそれぞれ計画を策定することとしている。

都道府県には計画策定を義務付け(第1項)ているが、市町村へは努力規定(第3項)としている。これは、市町村につ いてはその行政規模が様々であること及び計画策定の状況等を考慮したものであるが、できる限り速やかに計画が策 定されることが望ましいのは言うまでもない。

なお、市町村男女共同参画計画を策定していない市町村にあっても、第9条に定める地方公共団体の責務は課せら れるので、男女共同参画社会の形成の促進に関して、国に準じた施策及び市町村の区域の特性に応じた施策を策定し、 実施することは必要となる。

また、地方自治法又は政令上特別の定めをするものを除くほか、市に関する規定は、特別区に適用されることになっ ており、特別区(都の区)は本条の第3項が適用される。


2 用語解説

(1)第1項
ア「男女共同参画基本計画を勘案して」

地方公共団体も国と連携して、全体として男女共同参画社会の形成に取り組んでいくものであることから、両者の取 組の整合性を確保するため、男女共同参画基本計画を勘案することとしている。「勘案」とは、関連のある事柄をよく引き 比べてそれを考慮に入れるということである。地方公共団体の状況、抱えている問題にも違いがあり、地方分権の時代で もあるので、国の計画をそのまま準拠するのではないという意味で勘案するとしている。

(2)第2項
ア「都道府県の区域において総合的かつ長期的に講ずべき男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の大綱」

第13条第2項第1号と同旨で、都道府県の区域にかかわるもので、国の男女共同参画基本計画を勘案した、国の施策 に準じる施策の大綱である。この大綱には、国の男女共同参画基本計画には盛り込まれていない、第9条に規定 する地方公共団体の区域の特性に応じて行う施策が含まれることになる。

なお、第8条の規定により、「男女共同参画社会の形成の促進に関する施策」には積極的改善措置が含まれる。次 号、次項についても同じである。

イ「都道府県の区域における男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項」

第13条第2項第2号に定める国の規定と同旨である。

(3)第3項
ア「基本的な計画」

市町村に対しては計画に規定すべき事項については規定されていないが、国の基本計画及び都道府県の計画を考 慮に入れた策定を求めており、国、都道府県に準じた事項(前条第2項第1号及び2号、第2項第1号及び第2号)が含ま れる。

イ「努めなければならない」

市町村については、その行政規模が様々であること等にかんがみ、一律に計画の策定を義務付けることは適当では ないことから努力規定としている。なお、「都道府県及び指定都市における男女共同参画社会の形成又は女性に関する 施策の推進状況」(平成10年7月総理府男女共同参画室)においても市町村では計画の制定は、13.3%であり、これを義 務とする状況にはなく、努力することを求めたものである。

なお、地方公共団体には本条以外にも第9条により、国の施策に準じた施策等の策定、実施義務は課せられており、 仮に計画が定められない場合であっても男女共同参画社会の形成の促進が図られなければならない。


<参考>地方公共団体における計画の策定手続

国の基本計画は男女共同参画審議会(現在は男女共同参画会議)の意見を聴いて案を作り閣議にかけることとしてい る。地方公共団体については審議会等の意見を聴く旨の規定がないが、これは、地方公共団体の自主性に委ねることと したためである。

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