男女共同参画社会基本法逐条解説

1 趣旨

本条は、男女共同参画社会の形成について、国の果たすべき役割の重要性にかんがみ、国の責務を明らかにしたも ので、基本法第1条「国及び地方公共団体及び国民の責務を明らかにする」を受けた条文である。

国は、第3条(男女の人権の尊重)、第4条(社会における制度又は慣行についての配慮)、第5条(政策等の立案及 び決定への共同参画)、第6条(家庭生活における活動と他の活動の両立)、第7条(国際的協調)の5つの基本理念に 基づき、第2条で定義された男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を課さ れている。

本条において、「男女共同参画社会の形成の促進に関する施策」には、第2条で定義された「積極的改善措置」が含 まれることが定義されている。条文上、積極的改善措置が含まれることを明記しているのは本条のみであるが、(積極的 改善措置を含む。以下同じ。)とあるので、以後「男女共同参画社会の形成の促進に関する施策」とあれば、その施策に は必ず「積極的改善措置」が含まれることになる。


2 用語解説

(1)「国」

類似した用語として、「政府」という用語もあり、「国」の意味も必ずしも一様ではないが、一般的に、立法府、司法府、行 政府を含めた意味として「国」という用語を用いることが多く、施策の実施主体としての行政府は「政府」という用語を用い る場合が多い。男女共同参画社会基本法においても、国の施策の具体的な実施主体の場合には「政府」という用語を使 用し、その他の場合には「国」という用語を使用している。

(2)「基本理念にのっとり」

国が男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を策定し、実施する際には、第3条から第7条までに規定されている 「基本理念」を基準、手本とするということであり、これらの基本理念を常に念頭に置き、基本理念の趣旨に従うということ を意味する。

(3)「男女共同参画社会の形成の促進に関する施策(「積極的改善措置」を含む。以下同じ。)」

「男女共同参画社会の形成の促進に関する施策」とは、第2条第1号に定義する「男女共同参画社会の形成」を促し、 進める効果のある施策一般のことである。

本条において、「(「積極的改善措置」を含む。以下同じ。)」と規定することで、以下の条文において「男女共同参画社 会の形成の促進に関する施策」という規定があれば、「積極的改善措置」が含まれることになる。

(4)「総合的に策定し、実施する」

男女共同参画社会の形成の促進に関する施策一般を全体として連携を図りながら策定・実施することを意味する。

(5)「責務を有する」

責務の具体的内容は、第11条(法制上の措置等)、第12条(年次報告等)、第13条(男女共同参画基本計画)、第15 条(施策の策定等に当たっての配慮)、第16条(国民の理解を深めるための措置)、第17条(苦情の処理等)、第18条 (調査研究)、第19条(国際的協調のための措置)、第20条(地方公共団体及び民間の団体に対する支援)等である。

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