男女共同参画社会基本法逐条解説

(政策等の立案及び決定への共同参画)

第5条 男女共同参画社会の形成は、男女が、社会の対等な構成員として、 国若しくは地方公共団体における政策(1、3)又は 民間の団体における方針(2、3)立案及び決定(4)共同して参画する(5)機会が確保されることを旨として、行われなければならない。

1 趣旨

社会の構成員が、政策あるいは方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されることは、男女があらゆる 分野において利益を享受することができ、共に責任を担うべき男女共同参画社会の基盤を成すことであり、重要な意義 を持つことから、このような趣旨を、法文上、基本理念として明らかにしたものである。

我が国の状況を平成11年の国連開発計画(UNDP)の人間開発指数(HDI)(平均寿命、教育水準、国民所得を用いて算 出)でみると175か国中9位にランクされているが、ジェンダーエンパワーメント指数(GEM)(国会議員に占める女性の 割合、専門職・技術職に占める女性の割合、行政職・管理職に占める女性の割合、女性の所得を用いて算出)では70 か国中44位と、他のOECD諸国と比較して低位な状況にある。

また、総理府「男女共同参画社会に関する世論調査」(平成9年)によれば、政策や方針の立案や決定の過程に女性 が進出していない主な理由として、男性優位の組織運営や性別役割分担意識等が挙げられている。

本条において、男女共同参画社会の形成は、男女が、<1>国若しくは地方公共団体における政策、又は<2>民間の団体に おける方針について、その立案及び決定に男女が共同して参画する機会が確保されることを旨として行われなければな らないとしている。

これは、単に形式的に機会が確保されればよいというものではなく、本人の主体的意思に基づき、政策等の立案及び 決定に実質的に参画していくことができるよう、種々の条件が整備されなければならないことを意味している。

なお、「社会の対等な構成員として」とは、第2条においても規定されているように、男女が社会において本質的に対等 な構成員であることを指している。

 (注:平成14年では日本のHDIとGEMはそれぞれ、175国か中9位、70か国中44位にランクされている。)

2 用語解説

(1)「国若しくは地方公共団体における政策」

国(司法府、立法府、行政府)における法令、施策等又は地方公共団体における条例、施策等、立案及び決定される 全てをいう。

なお地方公共団体とは、地方自治法第1条の3に規定されている都道府県、市町村、特別区、地方公共団体の組合、 財産区及び地方開発事業団である。

(2)「民間の団体における方針」

民法、中間法人法、商法、労働組合法等の各種法令に基づき設立されている企業、公益法人、労働組合、独立行政 法人、教育・研究機関、共同組合、NPO法人等やPTA、任意団体等における定款、事業計画等、立案及び決定される全 てをいう。

(3)「政策」及び「方針」

 「政策」は国又は地方公共団体が立案及び決定するもの、「方針」は民間の団体が立案及び決定するものである。

(4)「立案」及び「決定」

政策、方針の案の検討の段階からその決定の段階までのすべてをいう。なお、法令用語としては企画、立案、推進等の 用語が用いられているが、本条は企画等を排除するものではなく、政策、方針の決定に至るすべての過程が含まれる。

(5)「共同して参画する」

男女が共同して参画するという意味である。

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