1 政策・方針決定過程への女性の参画の拡大

施策の基本的方向 具体的施策 担当府省

(1)国の政策・方針決定過程への女性の参画の拡大

行政分野において、行政施策の対象の半分は女性であり、また、同様に施策の影響を受けることから、女性の参画を拡大していくことが重要である。政策・方針決定過程への男女共同参画は民主主義の要請である。

政府においても平成8年5月に男女共同参画推進本部が決定した、審議会等委員への女性の参画を20%とする目標を達成したところであるが、更に努力が必要である。

このため、審議会等委員への女性の参画の拡大については、平成13年1月6日に移行が開始される中央省庁等改革による審議会等の再編後においても、ナイロビ将来戦略勧告を踏まえ、平成12年8月の男女共同参画推進本部決定の目標の早期達成に努める。

女性国家公務員については、国家公務員法に定める平等取扱いと成績主義の原則に基づきながら、女性の採用・登用等を促進する。人事院勧告の際の報告においても、各府省における女性の採用・登用の拡大等の重要性がうたわれており、政府としては、人事院の策定する指針を踏まえ、女性の採用・登用等の促進に向けて積極的な取組を行う。

ア 国の審議会等委員への女性の参画の促進

  • 女性委員の参画状況の定期的な把握等による目標の早期達成

    男女共同参画推進本部が平成12年8月に決定した「平成17年(西暦2005年)度末までのできるだけ早い時期に」「30%を達成する」という目標に向けて、各審議会の女性委員の人数・比率等を定期的に調査・分析・公表しつつ、計画的に取組を進める。また、引き続き女性委員のいない審議会等の解消を目指す。なお、審議会等における臨時委員、特別委員、専門委員等についても、女性の積極的な登用に努める。

  • 団体推薦及び職務指定に係る委員への女性の参画の促進

    団体推薦による女性委員が少なく、全体の女性比率を押し下げていることから、審議会等に委員を推薦している団体等に対し協力を要請し、特に、推薦委員数が多い団体等については、国の目標値に見合った女性割合が確保されるよう、格段の協力を依頼する。

    職務指定についても、法令においては一定の裁量が与えられているにもかかわらず、運用上、特定の職務にある者や団体の長の登用が慣例化していることが少なくないことから、これらの必然性につき検討を行い、可能なものについては柔軟な対応を検討する。

  • その他の委員等への女性の参画を促進するための取組

    法律に基づいて任命・委嘱される委員、国が委嘱する各種のモニター等についても、女性の参画を促進する。

    日本学術会議においては、平成12年6月に定めた「女性会員比率を今後10年間で10%まで高める」という目標に向け女性会員の増加を図る等、女性科学者の登用に努める。

イ 女性国家公務員の採用・登用等の促進

  • 女性国家公務員の採用・登用等の促進

    女性国家公務員の採用、登用、職域拡大及び能力開発を一層推進する。

    その際、人事院において検討が進められている、女性の採用・登用の拡大に向けた施策を各府省が計画的に着実に推進するための指針の策定について、人事院に対して、早期に検討を進め、策定することを求める。また、各府省において、同指針を踏まえ、女性の採用・登用等の促進に向けた施策に関する計画を策定するなど、総合的かつ計画的に取組を推進する。

    さらに、女性国家公務員の現状、各府省における取組状況等に関して、定期的に調査し公表するなどのフォローアップについて検討する。

全府省

(2)地方公共団体等における取組の支援、協力要請

住民に身近な行政に携わる地方公共団体の政策決定は、一人一人の住民の生活に大きな影響を与えることから、国と同様に地方公共団体における政策・方針決定過程への女性の参画の拡大が望まれる。既にほとんどの都道府県・政令指定都市において、審議会等委員や公務員への女性の登用を促進する取組が行われてきていることから、これが更に推進されるよう支援・協力要請を行う。  また、このような取組を市町村にも普及するための助言を行うよう、都道府県に対し協力を要請する。

ア 審議会等委員への女性の参画に関する取組の支援

  • 都道府県・政令指定都市等における審議会等委員への女性の登用に関する支援

    各都道府県・政令指定都市・中核市が設定している審議会等委員への女性の参画に関する目標値や、これを達成するための様々な取組、女性比率の現状等を調査し取りまとめて提供するとともに、女性の人材に関する情報を提供する。

  • 市町村への取組の普及

    市町村における同様の取組を促進するため、都道府県が市町村に支援と助言を行うよう協力を要請する。また、都道府県と市町村が女性の人材情報を共有できるよう双方に協力を要請する。

    男女共同参画宣言都市等に対しては、こうした取組を特に積極的に行うよう奨励する。

イ 女性地方公務員の採用・登用等に関する要請等

  • 女性地方公務員の採用・登用等に関する要請

    女性地方公務員の採用、登用、職域拡大及び能力開発について積極的に取り組むよう要請する。

    その取組において、地方公共団体が職員に対して研修を行う場合には、女性職員の受講に配慮することも要請する。

  • 独立行政法人、特殊法人及び認可法人に対する協力要請

    独立行政法人、特殊法人及び認可法人に対して、女性の参画に係る計画を策定する等の積極的な取組を促進するよう協力を要請する。

  • 大学等への協力要請

    学術・研究の分野における女性の参画を促進するため、国公私立の大学等の教育機関、国公立及び民間の研究機関、学会等その他の関連機関において、女性の参画を促進するよう協力を要請する。

全府省

(3)企業、教育・研究機関、その他各種機関・団体等の取組の支援

政治、経済、社会、文化などあらゆる分野における政策・方針決定過程への女性の参画の拡大について広く協力要請を行う。

また、積極的改善措置(ポジティブ・アクション)に自主的に取り組むことを奨励する。

  • 社会的気運の醸成

    あらゆる機会を通じて、女性の登用等について企業、労働組合、経営者団体、教育・研究機関、PTA、政党、協同組合等各種機関・団体等に協力要請を行うとともに、社会的気運の醸成を図る。その際、積極的改善措置(ポジティブ・アクション)に関する情報の提供等により、可能な範囲で、そうした実効ある方策が取り入れられるよう協力を要請する。

  • 独立行政法人、特殊法人及び認可法人に対する協力要請

    独立行政法人、特殊法人及び認可法人に対して、女性の参画に係る計画を策定する等の積極的な取組を促進するよう協力を要請する。

  • 大学等への協力要請

    学術・研究の分野における女性の参画を促進するため、国公私立の大学等の教育機関、国公立及び民間の研究機関、学会等その他の関連機関において、女性の参画を促進するよう協力を要請する。

全府省

(4)調査の実施及び情報・資料の収集、提供

政策・方針決定過程への女性の参画に関し、様々な分野における現状や問題点を定期的に調査・分析するとともに、男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供するという積極的改善措置(ポジティブ・アクション)について、実効性ある措置の具体化について総合的に検討する。また、女性の人材に関する情報の収集・整備・提供に努める。更に、国民の行政情報へのアクセスを進め、政策・方針決定過程の透明性を確保する。

ア 政策・方針決定参画に関する調査・研究の実施

  • 積極的改善措置(ポジティブ・アクション)の具体化

    我が国における積極的改善措置(ポジティブ・アクション)の具体的措置の導入について、諸外国の実態を参考にしつつ、実効性を担保する仕組み等につき総合的に検討する。

    また、女性の参画が政策・方針決定へ与える影響や女性が政策・方針決定に参画しやすい環境づくり等に関し調査・研究する。

  • 女性の政策・方針決定過程への参画状況に関する定期的な調査の実施

    様々な分野における、女性の政策・方針決定過程への参画状況につき定期的に調査を行い、情報を提供する。

イ 女性の人材に関する情報の収集・整備・提供

  • 女性の人材に関するデータベースの充実及びネットワーク化の検討

    女性の人材に関する幅広い情報の収集・整備・提供を行うため、データベース等の一層の充実を図る。また、地方公共団体における同様の取組を積極的に支援し、こうした情報が相互に利用できるようなネットワーク化についても引き続き検討を行う。

  • 女性リーダーの養成

    地方公共団体やNGOが行う女性リーダーの養成事業について支援を行う。

ウ 政策・方針決定過程の透明性の確保

  • 政策・方針決定過程の透明性の確保

    高度情報通信社会における行政情報へのアクセスの拡大を図るため、情報公開法制及び政策評価制度等の的確な施行を確保するとともに、広く国民等に対し案等を公表し、意見を募集するパブリック・コメント手続が一層活用されるよう努める。

    また、国民一人一人が政治や選挙に関心を持つとともに、投票への参加が推進されるよう、啓発に努める。

全府省
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