11 地球社会の「平等・開発・平和」への貢献

施策の基本的方向 具体的施策 担当府省

(1)国際規範・基準の国内への取り入れ・浸透

1975年(昭和50年)の国際婦人年以来、我が国の男女共同参画社会の形成に向けての取組は、国連の取組等国際的な動きに連動する形で行われてきたが、近年は、ますます政治、経済、文化など社会のあらゆる分野で情報化、グローバリゼーションが進展しており、国内における取組を行うに当たって、国際社会における取組の成果や経験を十分活用することが重要となっている。このため、女子差別撤廃条約を始めとする男女共同参画に関連の深い各種の条約や、女性2000年会議において採択された「政治宣言」及び「北京宣言及び行動綱領実施のための更なる行動とイニシアティブ」、国際会議における議論等、女性の地位向上のための国際的な規範や基準、取組の指針を積極的に国内に取り入れるよう努める。

  • 女子差別撤廃条約等の積極的遵守

    女子差別撤廃条約の積極的遵守と同条約の趣旨に沿った施策の充実に努める。また、誰もが理解しやすい形で同条約の周知を図ることにより、国内への一層の浸透を図る。また、児童の権利に関する条約やILO第156号条約等、我が国が締結している男女共同参画の推進に係わる条約についても、その目的が十分達成されるよう、取組の充実、内容の普及・浸透を図る。

  • 未締結の条約に関する検討

    女性に関わりの深い条約のうち未締結のものについて、世界の動向や国内諸制度との関係にも留意しつつ、男女共同参画の観点から積極的な対応を図る。また、国際機関等において検討が進められている女性に関わりの深い国際文書の作成等についてもその動向に十分配慮する。

  • 「人権教育のための国連10年」に係る施策の推進

    「人権教育のための国連10年」に係る施策について、関係行政機関相互の緊密な連携・協力を確保し、総合的かつ効果的な推進を図るため策定した「国内行動計画」に基づき、女性の人権保護を含む人権教育の推進に取り組む。

内閣府、外務省、文部科学省、関係府省

(2)地球社会の「平等・開発・平和」への貢献

開発援助の実施に当たっては、「政府開発援助大綱」(平成4年6月)を踏まえ、第4回世界女性会議において発表した「途上国の女性支援(WID:Women in Development)イニシアティブ」に沿って、女性の地位の強化と男女格差の是正に配慮する。特に、教育、健康、経済・社会活動への参加の3つの分野を重視し、開発途上国及び他の援助国、国際機関、NGOとも協力しつつ、WID分野の開発援助の拡充に努力する。その際、国際協力に携わる者のWIDやジェンダーに関する認識の向上を促進する。

さらに、女性のみに視点を当てるのではなく、女性と男性の不平等な関係や女性を不利な立場にしている社会的構造そのものを変えていくという視点に立って、取組を進める。また、途上国において経済危機が発生した場合、それが女性の社会的危機につながらないような視点をもって、必要な援助を適時適切に行う。

また、個別の援助案件の計画・実施・評価の各段階における女性の参画と受益を確保する視点に立って国際協力を実施し、援助側における女性の参画にも配慮しつつ、被援助国における男女共同参画の促進を図るよう努める。

国連を中心として展開される世界の女性の地位向上のための諸活動に対する積極的な協力、紛争地域等における平和の構築及び復興開発への女性の積極的な参画の促進、国際交流の推進等を進める。

なお、地球社会の「平等・開発・平和」の推進に当たっては、内外のNGOが重要な役割を果たしており、これらのNGOとの協力、連携を図りつつ取組を進める。

ア 国連の諸活動への協力

  • 国連の諸活動への協力

    第4回世界女性会議のフォローアップにおいて中心的役割を果たす「国連婦人の地位委員会」及び「女子差別撤廃委員会」への積極的な参加又は貢献、国連婦人開発基金(UNIFEM)等への拠出等の協力を推進する。

    国連開発計画(UNDP)等の行う開発途上国の女性支援活動に対する協力を推進する。

    教育分野については、国連教育科学文化機関(UNESCO)の活動に参加・協力することにより、アジア・太平洋地域における女性の識字の普及を促進する。

    今後開催が想定される世界女性会議等における国際的行動計画策定に向け、積極的に貢献していく。

イ WID/ジェンダーの推進

OECD/DACが策定した「ジェンダー平等/WID指針」を踏まえ、男女の均等な開発への参加とそこからの受益を確保し、被援助国における男女共同参画の促進を図るため、WID/ジェンダーの観点から社会全体の持続可能な経済・社会開発を目指していく。

  • WIDイニシアティブの推進

    WIDイニシアティブの3つの重点各分野について次のような目標を立て協力を進める。

[教育]

西暦2005年までに、開発途上国における6歳から11歳までの男女格差をなくし、また、西暦2010年までに開発途上国の6歳から11歳までの女子のほぼ全員が男子と同様に学校教育を受けられることを目指す努力を支援する。

具体的には、例えば女子教育の教科書・教材の作成・普及、教員の養成、女子教育、訓練のための施設、設備の整備、成人女性の識字教育の促進等に対する支援を行う。

[健康]

西暦2010年までに、妊産婦死亡率(出生10万人当たりの妊産婦の死亡者数)を200以下に下げることを目指す努力を支援する。また、出産に対する圧力を軽減するという観点から、2015年までに、乳児死亡率(出生1,000人当たりの1歳未満の子どもの死亡者数)を35以下に下げることを目指す努力を支援する。

具体的には、例えば基礎保健医療体制の整備・強化、母子保健サービスの強化(乳幼児の健康診断、予防接種、栄養相談)、家族計画の普及、基礎データの整備能力の向上等を推進する。

[経済・社会活動への参加]

女性のための適正技術の研修・訓練の場の提供、女性の労働環境の改善、女性問題関連の法律、制度の整備のための協力を行う。また、経済活動への女性の参加を促進する上で、女性の起業家が多い零細企業の育成を支援していくことが有益であるため、このような女性に対する支援制度の導入を支援し、また、資金協力等の積極的支援を行う。

具体的には、例えば組織化のための助言、指導(例:機材供与や貸付けの対象となり得る同業組合の設立)、零細企業の育成、その他経済・社会活動への参加に資する機材供与、零細企業に対する支援制度への資金協力等を推進する。

  • WID推進体制の充実

    WIDイニシアティブの推進に当たっては、援助の形成、決定、実施及び評価への女性の参画を促進する。このため、援助機関従事者のWID/ジェンダーに対する認識を強化し、また、大使館におけるWID担当者の指名やガイドライン、手引書の活用などにより実施体制の充実を図る。

  • NGO等との連携・協力の強化

    WIDイニシアティブの推進に当たっては、開発途上国及び他の援助国、国際機関、NGOとも協力しつつ、WID分野の開発援助の拡充に一層努める。個別の援助案件の企画、実施、モニタリング、評価及びフォローアップについては、NGOの一層の参加を検討する。

    また、国際ボランティア貯金の寄附金、草の根無償資金協力、NGO事業補助金等、様々な枠組みを活用して、NGOを通じて開発途上国の女性の自立を促進する等各種の事業を支援していく。

ウ 女性の平和への貢献

  • 平和を推進する国際機関等への貢献

    平和を推進するための国際機関及び国連平和維持活動への協力を推進するとともに、NGOを支援する等により紛争地域等における平和構築及び復興開発プロセスへの女性の参画を一層促進する。また、紛争時において最も支援を必要とするのは女性や児童であることを考慮し、国連難民高等弁務官(UNHCR)、国連児童基金(UNICEF)等の人道支援国際機関に対する積極的な協力・貢献に努める。

エ 国際分野における政策・方針決定過程への女性の参画の促進

  • 国際分野における政策・方針決定過程への女性の参画の促進

    国際分野における政策・方針決定の場において、女性が積極的な役割を果たし、地球社会の平等・開発・平和に貢献できるよう、国際機関、国際会議への女性の参加を推進する。

オ 国際交流・協力の推進

  • あらゆるレベルにおける国際交流・協力の推進

    女性に関する国際交流、国際協力を促進し、国を越えた相互の信頼や友好 協力関係を増進するため、平和、安定の基礎となる情報交換・人事交流について、国・地方公共団体、NGOなどそれぞれのレベルで充実を図る。また、特に国際レベルにおける女性関係情報ネットワークづくりに積極的に協力するとともに、女性に関する国際協力事業の一層の推進に努める。

  • 環境問題に関する国際協力等の取組の推進

    「アジェンダ21」及び「『アジェンダ21』行動計画」を踏まえ、環境問題に関する国際協力については、事業の実施が女性と男性に対してそれぞれどのような影響を与えるかに関して十分配慮するとともに、事業の各段階における意思決定過程への女性の参画を促進する。

  • 女性の教育分野における国際交流・協力の支援

    女性教育団体、国立女性教育会館や各地の女性教育関連施設等における国際交流・協力事業を支援する。

外務省、総務省、法務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、環境省、関係府省
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